どうながの映画読書ブログ

~自由気ままに好きなものを語る~

「ノー・エスケイプ」…レイ・リオッタが彼岸島でプリズンブレイク

先日レイ・リオッタが67歳で亡くなられたとのこと。

作品的なベストは「グッドフェローズ」かと思いますが、自分が初めてこの俳優さんを知ったのは「不法侵入」という作品。

美しすぎる人妻マデリーン・ストウをストーカーする警官の役だったのですが、勘違いサイコパスっぷりが堂に入っててドキドキ。

その後も「タービュランス」「ハンニバル」などネチネチな悪人を演じると天下一品という印象が残りました。

個人的には悪役のイメージが強かったレイ・リオッタですが、善玉役で好きだったのが94年のこの作品。

ときは2022年。
上官殺しの重罪を犯した軍人・ロビンスは〝アブソロム”と呼ばれる刑務所へ送られる。
そこは世界から隔絶した究極の監獄島だった…

 

レイ・リオッタにしては珍しくアクション映画の主役。

刑務所が民間に委託され悪徳所長がやりたい放題というあるあるな設定。

序盤は近未来っぽくホログラフ映像や最新監視システムの様子が描かれますが、ハイテク感を醸そうと必死な90年代刑務所モノを観るとなぜかワクワクが止まりません。

訳ありで上官を殺したと思われるレイ・リオッタは絶海の孤島に送られます。

しかし…!!
この島では暴力を正義とするアナーキストたちのグループ・『アウトサイダー』と、改心して平穏な文明社会を築こうとする『インサイダー』の2つのグループが争っていました。

 

マッドマックス2と食人族を足したようなワイルドな見た目のアウトサイダーたち。

元軍人で能力の高い主人公は「仲間にならないか?」と勧誘を受けますが、誘いを無下にしてしまいます。

負傷し今度はインサイダーの村に拾われますが、そこでも「俺は誰とも群れないから」と雲雀恭弥のようなことをボヤきながら、たった1人島の外に出ようと画策するレイ・リオッタ

オーストラリアがロケ地の本作は自然が美しく、村のセットもよく出来ています。

↑とにかく木材の多い映画

みてると「思ったより何でもあるやん」ってなってきますが(笑)。

メカ担当、調達屋、酒造屋など各々役割を持ったキャラクターが登場、こうした〝脱獄モノ”の面白さをしっかり押さえられてるのがGOOD。

こんなに適応力のある人たちが何で囚人になっちゃったのよ…と思いますが、めっちゃ器用に何でも作るおっちゃんは元爆弾製作者。

訳ありの過去持ちが多いインサイダーのグループ、村のリーダーはランス・ヘンリクセンが演じていて皆のファーザーと呼ばれる人格者。

彼だけは冤罪だと噂されていますが真相はいかに…??

思いの外キャラクターが1人ひとり立っています。

 

ところがある日アウトサイダーたちが攻めてくるとの情報が。

あとやっぱりインサイダーの人たちも脱獄あきらめてなかった…!!

衛星から監視中の悪徳所長は邪魔ばかりしてくるし一体どうなってしまうのか!?

 

監督は「マスク・オブ・ゾロ」「007カジノ・ロワイヤル」のマーティン・キャンベル
プロデューサーは「ターミネーター」「ウォーキング・デッド」などヒット作を数多く手掛けたゲイル・アン・ハードと手堅い布陣。

合間に激しい合戦場面などを挟みつつダレないアクション映画となっています。

ラストバトルはまさかのどんでん返し!?にびっくり(笑)。

敵大将ときっちりタイマンバトルで決着つけるところは90年代ムービーらしくスカッとします。

なによりトゲトゲ&ツンツンだった主人公が少しずつ心を開き、集団と協調する姿をみせるのがいいんですよねー。

ギラギラした鋭い眼差しのレイ・リオッタが怒りや孤独をしっかり表現していてシリアス味が失われず良いバランス。

代表作ではないかもしれませんが、こういうB級な作品の中でも個性が輝いて、映画に一味も二味も加えてくれるような俳優さんだったと思います。

助演でもまだまだご活躍できそうなお年だったのに悲しい…

素敵な作品を沢山ありがとうございました。