イギリスの名優が集まった78年公開のミリタリーアクション。
アフリカ前大統領救出のミッションを負った傭兵集団が依頼主に裏切られ現地に置き去りに…
基本はエンタメアクションしつつ70年代ならではの骨太さがあって見応えのある作品でした。
ベテラン傭兵のフォークナー大佐(リチャード・バートン)は大富豪エドワード卿に呼び出され、アフリカ某国の前大統領・リンバーニの救出を依頼されます。
独裁者の将軍に追い出されたリンバーニは表向きには病死と公表されていましたが、実は政府によって監禁されていました。
銅の採掘権を渡さない将軍を快く思わないエドワード卿は、人格者と名高いリンバーニを復権させようと目論んだのでした。
破格の依頼料に惹かれて仕事を引き受けた大佐は親交のあるプロフェッショナルたちを呼び集めます。
女たらしだけど凄腕パイロットのショーン(ロジャー・ムーア)。
作戦立案家のレイファー(リチャード・ハリス)は金目的ではなく善人を助ける傭兵だと仲間内の評価が高い人物。
幼い息子がいるので参加を渋りますが、仕事のやりがいを思い出しチームに加わります。
前半たっぷりかけて描かれるチーム結成の描写が非常に丁寧、ジョークも飛ばしながら湿っぽくないのがいいです。
金に困っている者、ただ戦地が好きでたまらない者など動機は各人各様。
中高年の同窓会のようなメンバーですが、かつての仲間に会うと皆顔を輝かせ、共に死線をくぐり抜けたもの同士にしかない強い絆を感じさせます。
貨物機に乗り危険なパラシュート降下で現地に着陸する作戦が開始、向こう300メートル遮蔽物のない兵舎を強襲するため青酸カリを塗った毒矢で見張りを襲います。
圧倒的手際のよさで前大統領を救出する部隊でしたが、なぜか彼らを乗せぬまま去っていく迎えの飛行機…
依頼主の富豪が裏切って将軍と割安の取引で銅の採掘権を取り戻し、傭兵たちに支払う金はケチって彼らを見殺しにするよう指示したのでした。(なんて汚ない奴なんだ)
孤立した部隊50名は絶望の中、前大統領を担いで彼の故郷を目指そうと歩を進めます…
主要キャストのギャラが予算を圧迫したのか、大規模な戦闘シーンはほぼ皆無。しかしとにかく移動速度が速く、敵兵に出会っては撃ち合っての繰り返し、多勢に無勢の絶望感はひしひしと伝わってきます。
あれだけ絆の強かったメンバーですが、いざ仲間が死亡すると瞬時に死体は置いていくし助かる見込みのない者は介錯します。
極限下でも理性的でいられる&合理的な判断が下せるような人だからこそ取れる非情な行動。
けれど哀しみがないわけではなく悲痛な決意が読み取れてなんとも切なくなります。
前大統領の世話役には南アフリカ出身の白人・ピーターが選ばれますが、黒人を見下していて差別的な言葉を口にします。
が、リンバーニの人間性に触れて許しと和解をみせる感動の流れ…
もう少しこの2人のやり取りはじっくり見たかったような気がしますが、とにかくスピード感重視の作品。
1人1人のキャラのクローズアップは少なめでしたが、脇役に至るまで印象的な顔の役者ばかりでそれでもドラマチックにみえるのが凄かったです。
なんとか脱出用の飛行機を入手するも、仲間はどんどん散っていき、しんがりを務めていたレイファーが1人取り残されてしまいます。
苦渋の表情を浮かべつつ彼の望みを重んじてレイファーを射殺する大佐。
さらには負傷した前大統領も機内で息を引き取ってしまいます…何という徒労感。
報われない結末ですが、この世を滅ぼす死神のような顔をしたリチャード・バートンが富豪に復讐しに行きます。
善人役のリチャード・ハリスは死亡フラグが立ちまくっていたし、バートンが息子に会いにいくラストまで何となく予想できてしまいました…が、ラストの画はベタだけどいいですね。
リチャード・バートンに善玉オーラがあまりなく気難しいプロのおっさんって感じなのがハマリ役、引き締まってて良かったように思いました。
前半・後半と上手く場面転換しつつタイトにまとまっていてこのジャンルを普段観ない人間でも大いに楽しめました。
エンタメアクションしつつ暗さや侘しさがしっかりあって70年代らしくていいなあと思いました。