どうながの映画読書ブログ

~自由気ままに好きなものを語る~

「恋するプリテンダー」…懐かし90年代!?お馬鹿ラブコメのようで秀逸な傑作

「ツイスターズ」のグレン・パウエル主演、昨年全米で大ヒットしたラブコメらしく気になったのを観てみました。

深夜に声出して爆笑、めちゃくちゃオモロかったです。

お互いの目的のために恋人同士のふりをすることになった2人がいつしか本当の恋に…

「いつの時代の映画やねん!!」とツッコミたくなるような古臭すぎるストーリー(笑)。

でもこれが見てみると筋運びが上手くて思った以上に話がよく出来ていました。

90年代ラブコメのような突きつけた明るさがありつつ、今風に洗練されてる部分もあって、おバカ映画のようで実はかなりの傑作なのでは…意外に侮れない1本でありました。

 

◇◇◇

弁護士を目指してロースクールに通っているビーは突然尿意に襲われコーヒーショップへ。

ところが客以外にトイレは貸さない方針らしく、「お前も並べ」と言われるも店は大行列。

しかし謎のイケメン・ベンが機転を効かせて膀胱の危機を救ってくれます。

アメリカのカフェってトイレに鍵ついてるの!?と驚きつつ、冒頭部分から爆笑。

股間が濡れて必死でハンドドライヤーで乾かすヒロイン(笑)。   

アホみたいなヘマやらかす姿に親近感。

その後の飛行機の中で乳揺らしながら馬乗りになるシーンといい、身体張っててなりふり構わない主人公、好きにならずにいられませんでした。

 

いい感じに結ばれそうな2人でしたが、ふとしたすれ違いで恋は始まらないまま破局

家族の結婚式で偶然再会すると、お互い過去を恨みに思って険悪な空気になってしまいます。

式の雰囲気が悪くならないように2人をくっつけようとする周りの人間のドタバタ劇があったりしつつ、ふとした成り行きから2人はラブラブのカップルを演じることに…

 

反発し合う男女の掛け合いは「或る夜の出来事」。どうみてもプリテンド出来てないのにそれを受容する周囲の人間の滑稽さは「お熱いのがお好き」。

もはや往年のクラシカルコメディが頭をよぎるような、古典的な笑いがノスタルジックでありつつ鉄板で面白かったです。

 

物語の舞台となる結婚式がレズビアンのウェディングなのは現代風味。

新婦2人ともがウェディングドレスを着ているのをみて「祝福するわけにはいかない」と言ったお父さん…嫌な奴なのかと思いきや「もっと多くの人に祝われなければ…」と続いて、めっちゃあったかいやないかーい、とこのシーンにも爆笑しました。

自分的にはシットコムの「フレンズ」の笑いを思い出したりもしつつ、90年代のコメディだともっと辛辣さや自虐的な笑いがあったような気がしますが、それに対して本作は全体的にマイルドでとても優しい。

下ネタ?みたいなのも挟みつつ、やりすぎず適度。しかし間合いが絶妙で大自然をバックに繰り広げられるアホに笑いっぱなしでした。

 

そしてまさかの令和のタイタニック(笑)。

タイタニックは古い映画なんだなーとしみじみ実感するとともに、泳げないのに海に飛び込んで助けに来てくれるグレン・パウエルにちょっと胸キュン。

食器棚のガラスについている手の跡もタイタニックやないかーい!!と何だか感心してしまいました。

 

結局ベンの母親とのエピソードはなんだったんだろう…ビーが不安定なのは両親からのプレッシャーへの葛藤とか色々ありそうだったけど悪い親ではなさそうだったし何だったんだろう…色々気になるところはあったけど、主役2人の過去エピソードは全く描かれないまま。

でも無理にドラマを入れ込もうとせずコメディに全振りしてるのが却って潔く思われました。

 

救助ヘリに助けられるくだりとか、真面目にみたら迷惑なだけなのですが、恋愛ドラマはバカやってなんぼ。

なぜ人はもしもあの時と思い続けるのか…それは自分に正直に生きていないから…

ありきたり過ぎるテーマがストレートに胸にきました。

 

ラストも既視感ありまくりのベッタベタな展開ですが、人生の刹那的瞬間の美しさが描かれていてワンダフル。

大合唱のエンドロールではダサさと謎の感動が押し寄せてきて元気100倍でありました。

 

グレン・パウエルはこういう「強がり男かと思いきやいい奴」の役ばっかりやってて大丈夫なのか…と思ったけどハマり役。冒頭から好感度大、相手を傷つけたくなくて…と逡巡する姿がギャップ萌えでした。

主演の女優さんは胸部に目が釘付けになってしまいましたが、下品にならず爽やかな笑いに変えていてお見事。繊細な内面もしっかり伝わってきて大変魅力のあるヒロインでした。

 

お父さん役の人、どっかでみたことあると思ったらダーマット・マルロニー。(ベスト・フレンズ・ウェディング懐かしー)

元カノ役の女優さんのスタイルと肉食獣のような目力に圧倒されつつ、ちゃっかりビーの元彼とキスしてるエンディングには爆笑。

余り物同士がくっつくとか四半世紀くらい見てない気がする雑な予定調和(笑)。

最後まで笑わせてくれました。

 

クルーズ船に花火と一体いくら掛かってるんだー!?富豪一家のバカンスは完全に異空間。

でもこういう景気のいい映画を久しぶりにみた気がして、オーストラリアの景色と美男美女の肉体がひたすら眼福でありました。

ダサい邦題も絶妙に古臭くてよし!!

アホ映画だけど頭空っぽにさせてくれるのに技巧も感じて何だか凄い。

全力で振り切ってる心地よさがあって、個人的にはめちゃくちゃ好きな作品でした。