リチャード・アッテンボロー監督、豪華俳優陣が集結した77年の戦争映画大作「遠すぎた橋」のBlu-rayが6月に発売。
超有名作なのに実はみておらず内容もよく知りませんでして…
ハピネットさんの吹替シネマシリーズで昨年末にみた「探偵スルース」が大当たりだったので今回思い切って購入。
本編175分、すごいボリュームのBlu-rayでしばらくあたためてしまったのをようやく鑑賞しました。
「進撃の巨人」1期オープニングを思い出してしまうメインビジュアルが既になんか凄い。
物凄い数の人、物凄い数の飛行機、大空に次々とクラゲのように浮かぶ落下傘部隊…
とんでもない映像のオンパレードに圧倒!!
オールスター14人集結の豪華キャストですが、イマイチ噛み合っていないというか、「大脱走」のようなハマり役ばかりの神キャスティングでないのは残念。
しかしドキュメンタリータッチのドラマは臨場感たっぷり…!!組織の愚かさに翻弄されるもどかしさ、虚しさだけが残る結末が胸に迫りました。
◇◇◇
冒頭でしっかりと説明が入りますが、描かれるのは第二次世界大戦のマーケット・ガーデン作戦。
オランダ周辺からドイツへ進撃しようというイギリス・アメリカ連合軍による作戦。
空挺部隊が先に占拠した橋を陸上部隊が移動、工業地帯であるドイツルール地方に攻め入れば一気に勝負がつく…という意図は理解できるものの、着陸できる場所の確保もあやふやなまま作戦がスタート。
「成功すればクリスマスまでに戦争が終わる」というふわっとした期待感に乗ってゴー。
「あとは天気が何とかなれ」って小学生の遠足じゃないんだから…
デキる部下が事前の偵察にて最新装備の戦車を捉えた写真を提出。
「精鋭部隊がいるのでは」と進言するも、作戦を中止したくない上官がそれを握りつぶして強引に決行。
一度決めたでかいプロジェクトを中止するのが言いにくいのは分かるけどさー…上の顔色を伺うばかりの上司。
〝悪い場合のことを想定しておく〟というのが全くできず、「根拠はないけど多分大丈夫」で進めてしまうのが本当にダメ。
作戦立案者はイギリス軍元帥バーナード・モントゴメリー。
ドイツ軍が「パットンが来たら嫌だなー、モントゴメリーがいいなー」と雑談している場面から不穏な空気が立ち込めています。
現場がざわつく中、朗らかな笑顔で作戦案を語るのはホロックス中将(エドワード・フォックス)。
冗談好きでプレゼン上手、人を乗せるのが得意なこういう上司いそう(笑)。
一方険しい顔で思い切り上官に食ってかかるのはポーランドのソサボフスキー准将(ジーン・ハックマン)。
「全滅に決まってる」とハナから作戦に絶望しきっている様子。
しかしどうにも止められず穴だらけのまま作戦は決行。
次々にパラシュート降下していく3万5000人の空挺部隊。
物凄い数の飛行機と物凄い数の人間…CGじゃないリアルな映像が超ド迫力!!


パラシュートがたんぽぽの綿毛のように空を舞う景色が圧巻。空に飛び込んでいく兵士視点での映像も重なり物凄い臨場感。
空を見上げ「大した物量だ、うらやましい」と呟くドイツ人将校がやけに爽やか(笑)。
地元のオランダ人たちがミサの途中を抜け出していく様子など、一般人目線も入れた演出にも引き込まれるものがありました。
先遣隊として目標のナイメーヘン橋にいち早く到達したのはフロスト中佐(アンソニー・ホプキンス)。
橋の途中まで歩を進めると案の定敵からの攻撃が…
進んでくる戦車を居住地から狙撃、善戦するもあっという間に精鋭部隊に取り囲まれ孤立。
無線が故障して情報の入らないまま、孤立無援で負傷者が増えていくのがもう可哀想で可哀想で…
やっと本営と繋がった無線、「4日も放ったらかしてごめんね」…そんな上官の言葉に泣き言ひとつ垂れずキビキビ返事するアンソニー・ホプキンスがひたすら渋い。
ドイツ軍から白旗あげるか聞かれたときに降伏してれば部下は助かったのかなーと色々考えてしまいますが、立場的にそれはできないのか難しい状況。
出撃前にはディナー服を持って行くとか言っていてこの人もこの人で読みの甘い人だったのかな??…優秀なのかそうでないのかイマイチ測りかねるキャラクターでした(笑)。
チョコレートを差し出され「お国のですよ」と声を掛けられるのがいたたまれなさすぎて閉口。

先に行った空挺部隊を陸路で追うことになっていたものの、戦車の猛攻撃を受け足止めを食らうのはバンドルール中佐(マイケル・ケイン)。
紫色の煙幕をたてて援護を要請、飛行機が空から戦車を一掃…ここの映像も大迫力!!

敵を散らしても行く道に残骸が残り、なかなか思ったようなスピードで移動できない一行。
町の人の歓迎を受けているところではもっと速く進んだれや、と思ってしまいましたが…
第1空挺師団長のアーカート少将(ショーン・コネリー)の部隊も敵に攻撃され散り散りに…大ピンチに陥るも民家の屋根裏部屋に匿われてなんとか味方部隊に合流。
精神病院の患者と遭遇して取り乱したり、お茶を差し出す部下に逆に窘められてしまったり……人間臭いキャラクターで、威風堂々としたオーラのショーン・コネリーが本作で1番ミスキャストだった気がします。
ソン橋を破壊されて足止めを食らい、イギリス軍に自家製橋を架けてもらうことになったのはスタウト大佐(エリオット・グールド)。
次々と材料が運び出され完成していく橋が凄い。そしてこんなマンパワーがあるのに作戦に上手く活かせないのが残念すぎる。
今すぐ援軍が必要だとギャビン准将(ライアン・オニール)の命を受け、ボートで川を渡る作戦を任されるのはクック少佐(ロバート・レッドフォード)。
ちゃちいボートをみて落胆する部下を「駆逐艦でも期待したか!」と叱咤激励。
丸裸同然で真っ昼間に川を渡るのが無謀以外のなにものでもなく、マリア様と唱えながら砲弾の中をひた進む様が絶望的。

クック少佐役は当初マックイーンに演じてもらいたかったのがギャラが折り合わず叶わなかったそうで…
レッドフォードもカッコいいけど、マックイーンの方が叩き上げ猛者軍人役はハマりそう。
もしものキャスティングをきいてしまうとそっちも見たいと思ってしまいます(笑)。
来るはずのものが到着せずスケジュール崩壊。上の命令待ちで〝とりあえず何もしない〟になって事態が悪化するのを見守るばかり。終盤はひたすら気が滅入ってきます。
イギリス・アメリカ両軍が各国のキャストで演じられていますが、イギリス軍はあまりよく描かれていなくて、アメリカ軍の方が人情家でよりヒロイックに描かれているように感じました。
少ない出番で圧倒的見せ場を搔っ攫っていくのはドーハン軍曹(ジェームズ・カーン)。
「絶対に死にたくない」とぼやいていた年下の上官を迎えに行くため敵地に突入。
でこぼこロードの森の道をとんでもないドライブテクでジープを押し進める…!!
敵に遭遇して絶対助からんやろ、と思ったら見事に撒いて味方陣営に帰還。

横に乗ってる上官はどうみても死んでるやろ、と思ったらまさか生きていてびっくり!!
手に汗握るドキドキのシーンがめちゃめちゃカッコよく、形式だけの懲罰をみせて不問にする軍医のおじさんとのやり取りも粋でシビれました。
弾薬や食料が尽きかける中、補給物資投下のため空から現れる飛行機。
地上からの狙撃を避けるため投下ポイントの限界があるのか…情報が伝わっておらず命令されるだけの行動しかできないからこっちに落としてくれないのか…離れた敵地に物資が落とされていくのがまた絶望を煽ります。
1個だけ近くに落ちた補給物を命からがら運ぼうとする兵士。案の定撃たれてしまいますが、中身がベレー帽というオチ。

「上は現場のことを何も分っちゃいない」がこれでもかと端的に表されていて、強烈な一幕でした。
甚大な被害を出し、予定より9日遅れて第5の橋まで1.6キロというところまで来てようやく撤退命令が…
「私は端からあれは遠すぎた橋だと思っていたよ」…タイトル回収がまさかダメ上司の台詞だったとは…(唖然)。
結局上の都合に振り回されただけだったというオチが戦争だと本当に地獄絵図。
ドイツ軍もドイツ軍で、橋の爆破を進言されても無視、「狙いは橋じゃなくてワシ!!」と言い切るダメ親父が登場(笑)。
「戦争のはらわた」でムカつく上官を演じていたマクシミリアン・シェルが今回良いドイツ軍人役だったのに驚きました。
第二次世界大戦もの、連合国サイドでダメ組織や負け戦を描いているのが珍しいイメージ。
締めくくりに映し出されるのが家を失った民間人一家というのも胸に重たいものが残りました。
場面転換が時々雑でテレビ映画っぽいのが気になったり…後半はひたすら悪い方に転がっていくのを見守るばかりで集中が途切れてしまったり…
自分がこのジャンルの作品を見慣れてないから余計にそう感じるのかもしれませんが、位置関係や時間経過がとにかく分かりづらい。
もう少し全体像が把握できればより求心力のあるドラマになったのでは…と残念に思われました。
少し間が空きつつ、1週目:字幕、2周目は日本語吹替で前後編の分割になりながら鑑賞。
字幕は画面に登場する人間が多く目で追うのが大変。
吹替は皆キャラクターが立っていて、所々で状況を説明するオリジナルのナレーションも追加。より分かりやすい印象で1周目を吹替にすればよかったと思いました。
特典はまだ全く追いきれてませんが、メイキングやリーフレット解説に面白いエピソードがたくさん。
一説にはショーン・コネリーより高いギャラを提示されていたというレッドフォード。「レッドフォードが出ればジャパンが高く買うと言っている」の裏話に笑いました。
完全な悪役!?になってしまっていたダーク・ボガード演じるブラウニング中将は、まるでこの人1人の責任になってるような描かれ方…後年発言の信憑性が疑われ遺族と揉めたというエピソードもあるらしく興味深いです。
でも1番上の人(モントゴメリー元帥)が最初から最後まで出てこないというのはリアルな嫌さがあって、映画的には功を奏しているようにも感じました。
また音楽を褒める人が多いのには納得。戦闘シーンではあえて流さず使いどころを絞っているのが劇的な効果をあげています。
今回の個人的ベスト俳優はジェームズ・カーン。マックイーンとジェームズ・カーンが戦場を駆け回るシーンがみたかったかも(笑)。
でもヒーロー不在の暗澹たる結末が70年代らしい味わい。
空挺部隊の降下シーンが超ド級のクライマックスでしたが、それ以外にも息を呑む迫力のシーンが立て続けにあってびっくり。
みておくべき1本をみれた、そんな満足感の残る物凄い1本でした。
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