扉を開けて入ってくるだけで、死人を出しそうな究極のドジっ子刑事、フランク・ドレビン…!!
いわゆるパロディギャグの空気感に触れたのはこの作品が初めてだったのですが、「全力でトボケる白髪のおじいちゃん」レスリー・ニールセンが可笑しくて、ちょっとしたカルチャー・ショックでした。
「なんで分数なの!?」とそれすら笑いの種だった続編タイトルはフェリーニの「81/2」のパロディーだったんですね…!
下ネタも多いし、今観ると笑いのノリが古いかなあ…なんて思ってましたが、1作目は今でも抜群にキレッキレで面白く、2作目・3作目も次いでそこそこ笑えるという感じでした。
1作目(85分)、2作目(85分)、3作目(83分)…と3つ足してアイリッシュマンかな、という尺の短さで、ボーっと観るには多分最高の作品(笑)。
3作まとめてゆるーく振り返ってみたいと思います。
1作目:「裸の銃を持つ男」(1988年)
パロディー映画の印象が強い本作ですが、シリーズ1作目は、そんなにパロディーしてない…!?
「黄金銃を持つ男」をもじった邦題のせいか、007のイメージが強く、フランクのことも凄腕エージェントみたいなキャラって印象があったけど、なんとロス市警の警部補…!
1作目は・・・実業家・ラドウィッグが裏で行っている麻薬売買を追う中、ロスにエリザベス女王が訪問することが決定。ラドウィッグが女王の暗殺計画を練っていることが分かり、フランクが陰謀を阻止しようと立ち上がる…!というストーリー。
シリーズ通して出演するレギュラー陣が揃っていて、毎回痛い目に遭うO・Jシンプソンは、「あんないい人はいない」という台詞がブラック・ジョークにきこえてしまう!?
そして…普通だったら、どうみても父娘の、ヒロイン・ジェーン(プリシラ・プレスリー)とのロマンス。ビンビンな男を演じても下品にならないレスリー・ニールセンがすごい…!
ラストはアメリカ人がもっとも愛する野球場を舞台にクライマックス!!
ドリフのコントのような笑いどころが沢山ですが、個人的に1番爆笑したのは「あの車を追え!」と乗り込んだ車が教習車だったところ。
映画の〇〇のパロディーというより、「誰もが観たことある場面を茶化す」笑いがスマートで、何の知識もなく楽しめるシリーズ最高傑作だと思います…!
2作目:「裸の銃を持つ男 PART2 1/2」(1991年)
2作目からちょこちょこ有名映画のパロディーが入ってくるようになるけど、そっちよりレスリー・ニールセンのボケの方が普通に面白い…!
今回の敵は石油会社の社長。エコ製品が溢れると自分たちが損をするからと、環境擁護派の博士の替え玉を用意し、石油消費・原発推進のスピーチをさせようと目論む…というなかなかパンチのきいたストーリー。
前回くっついたと思ったフランクとジェーンは、フランクのワーカーホリックが原因で破局、でもまた愛が再熱…!
91年当時の最新作を真似してみました!…は「ゴースト」のろくろシーンなんだろうけど、今観るとちょっと時事ネタ感が拭えないかも。
1番面白かったのは、やって来た殺し屋が、シャワー室でジェーンが口ずさむ「追憶」(♬メーモリー)に号泣してデュエットしてくるところ。
ラストは本当に大切なものに気付いたフランクが「愛はオゾン層と同じ。失って初めてわかる」と訴え、ジェーンとモトサヤでちゃんちゃん♬
うーん…2作目は、車いすのマインハイマー博士で笑いをとるところがイマイチのれず、悪役も前作の焼き直しみたいで個性を感じなかったり…と1作目よりトーンダウンかなあ。シリーズのレギュラー陣が笑わせてくれた感じでした。
3作目:「裸の銃を持つ男 PART33 1/3」(1994年)
そして…3作目は、さらにパロディーがさく裂していく展開に…!
今回のお話は・・・アメリカを憎む謎の黒幕・パプシュミアが服役中の爆弾魔・ロッコを雇った。フランクは刑務所に潜入捜査に赴き、爆弾事件を事前に阻止しようとする…!というもの。
「大脱走」そっくりなBGMの中繰り広げられる刑務所パロディーが楽しいです。捨てる土が多すぎてどんだけ~。
そして何といってもアカデミー賞授賞式を全力で茶化すというのが最大の見所。(全体的にここは「ボディガード」のパロディーなのかな?)
「そんな映画あるわけねーだろ!」な候補作にクスッとさせられたり、マーロン・ブランド受賞拒否の小ネタを挟んできたりと細かいギャグを連発する中、豪華ゲストが続々と登場。
その他…
エリオット・グールド(アルトマン作品常連)、マリウェル・ヘミングウェイ(「マンハッタン」)、メアリー・ルー・ハットン(オリンピック出場の元体操選手)、モーガン・フェアチァイルド(「フレンズ」のチャンドラーのオカン)、シャナン・ドハーティー(「ビバリーヒルズ青春白書」)、フィル・ドナヒュー(アメリカの人気司会者)、ジェームズ・アール・ジョーンズ(ダースベイダーの声)、オリンピア・デュカキス(「月の輝く夜に」)・・・などなど、なんかいっぱい出てきて追うのが大変…!
94年当時旬だった作品(「テルマ&ルイーズ」「クライング・ゲーム」「ジュラシック・パーク」)のパロディーが色々と詰まってましたが、ここも21世紀にみると時事ネタ感がありますねー。
でも映画ファンおなじみのアカデミー賞のバックヤードでボケまくるというのは、やっぱり面白かった…! 最後は黒幕を吹き飛ばしてちゃんちゃん♬
このシリーズは、子供の頃吹替で観た記憶があったので、今回、「音声は吹替で、且つ日本語字幕を流してみる」という横着な鑑賞をしてみたのですが、台詞が全然違っててビックリ…!
下記はWikipediaにも載っている有名どころなのですが…
…というゴルバチョフのソックリさんの台詞が、 「アメリカ人を見つけ次第捕まえてきて、べろの上にイカの刺身を載せてやる。それもストローでな。これがほんとのベロストロイカだ!」となんとも粋な台詞に(笑)。
撃たれたノードバーグについて語るシーンも、「聖母病院で奇跡を待ってます」のごく普通の台詞が「あいた穴から空気が出入りしてかえっていいみたいです。」という、よりフランクらしい台詞に!?
その上、悪役・パプシュミアは方言で癒し系キャラに、ロス市長はなぜかスネ夫のママ風に…。そんな話全然してなくない!?という大胆アレンジが所々…。これでいいのか!?とビックリしてしまうけど、それがミラクルマッチしているという超豪華吹替でした。
レスリー・ニールセンは、「ポセイドン・アドベンチャー」では普通に船長役とかしてましたし、約70歳でコメディーで大ブレイク…って、きっとご本人も予想してなかったでしょうけど、超ハマり役…!
個人的にはそんなにパロディー映画が大好きというわけではないんですが、それでも「裸の銃を持つ男」が特別心にのこっているのは、やっぱりレスリー・ニールセンのキャラクターの魅力なんだろうな、と思います。
1歩間違えれば、下品で腹の立つキャラにもなりそうなのを、こんなに愛嬌あるおじいちゃんで笑わせてくれるなんて…。今でも大好きなコメディです☆