おっ、この映画好きそうやわ〜。TSUTAYAの名盤復活コーナーの新作入荷に一目惚れしてレンタル。
頭空っぽにして観れるB級映画かと思いきや…
サイボーグとの戦いの果てに自らの身体がサイボーグと化した主人公。指令を受けてとあるサイボーグ追跡に乗り出す中、なんとサイボーグ側かと思われたテロ組織が実は人間の味方で、指令を出してた上司が実は人間に成り代わったサイボーグということが判明し…
・・・なんかもう誰がサイボーグで、誰が敵なのか、ビックリするほど複雑な映画でした(笑)。
監督はアルバート・ピュンという、ハワイ出身のアジア系アメリカ人で、B級映画界では知る人ぞ知る有名監督のよう。
なんと今回レンタル版にも特典映像という名の監督&プロデューサーのインタビューが付いていたのですが、その中でピュン監督が「撮ったけど編集には一切関われなかった」て言ってて、まずここにビックリです。
配給会社が都合した監督不在の別バージョンがあるとかこの業界ならままある話なのかもしれませんが、全くノータッチって…。
でもしっちゃかめっちゃかで荒削りな感じが、逆にいいという謎の魅力…!
昔映画秘宝で「男たちの挽歌2」は、前半はプロデューサーのツイ・ハークがつくって、後半はジョン・ウーがつくった。だから後半だけめちゃオモロイ…みたいに解説してた記憶があるんですが、ソレに近いものをこの「ネメシス」から感じました。
作り手が作りたいもの作れたワケじゃないけど、なんかヒカるのができたよ、みたいな。
そんな1992年製作の「ネメシス」。物語の舞台は2027年という未来です。
冒頭の見所たっぷりの銃撃戦のロケ地は「ターミネーター2」で使われたというカイザー製鉄所。
もうターミネーターリスペクトというより、まんまターミネーターやろ!というのが最後に出てきたのにはポカーンでしたが、ここは荒廃した未来感があってよかったです。
また往年の西部劇スタジオ、オールド・ツーソンで撮影したという場面もカッコよかった。
全編すごくロケーションがいいのですが未来感は全くない(笑)。むしろ泥臭い映像が多くて、これとサイボーグとのチグハグな組み合わせが大変乙でした。
ストーリー的には…
●サイボーグと化してゆく人間の主人公が自らのアイデンティティーに悩む
●サイボーグも人権を主張し、地球を破壊しているのは人間だという
…と、なんかすっごい深いメッセージ性のある作品に、100歩間違えばなれてたかもしれないんですが、チグハグになってて全く頭に入ってきません。
でも女優陣が雰囲気のある美人ばっかりで、儚さを感じさせてくれるのがすごくイイです。
・無機質な雰囲気でデカい銃をぶっ放し主人公を追い詰める、テロリストグループの女性2人。
・低音ボイスの謎めいた美女、ジャード。
・ビキニトップで主人公に付きそう少女のような無垢さが漂うマックス。
しかしダントツで印象に残ったのは、ジュリアン(デボラ・シェルトン)…!迫力のある裸体もみせてくれてギラギラした美人に目を奪われました。
ジュリアンの胴体が真っ二つになってしまうところは、なかなかのスプラッターで、ゴア描写をメカでみせているところに独特のフェティシズムさえ感じてしまう…。
本作屈指の名場面という床を撃ち抜くシーンもカッコよかったけど、「アンダーワールド」にこんなのあったっけ? 追っ手の長官は仕草の1つ1つも「マトリックス」のエージェント・スミスにすっごい重なりました。
とにかくみてると色んな映画がよぎってくるような作品ですが、ネメシスがみんなに影響を与えたぜ!ってトコも、もしかしてあるのかな。
メイキングではプロデューサーが、「10〜15万ドルでつくって30万ドル儲けられたら次の作品が撮れる」と語っていて、まさに「あなたの知らないB級映画の世界」を案内してくれるような内容でしたが、wikiをみてたらこのネメシスは、限定公開で200万ドルの興収叩き出したみたいで、そりゃピュン監督、ザ・レジェンドですね…!
セル版のBlu-ray はさらに特典が充実&バージョン違いも収録されているようで、これを観れば果たしてストーリーの全貌が理解できるのか、ちょっと気になる…。
ものすんごい荒削りの作品でしたが、名盤復活コーナー登場も納得の、光るB級アクションでした。