どうながの映画読書ブログ

~自由気ままに好きなものを語る~

「ビヨンド・ザ・ダークネス 嗜肉の愛」…坊ちゃんと家政婦の上級者向け変態プレイ

美しい恋人を剥製にして愛でる男…

B級イタリア映画を数多く手がけたジョー・ダマト監督による78年のホラー。

単なるネクロホラーに終わらず次々と飛び出す上級者向け変態プレイに絶句…!!

身勝手で病的な登場人物に感情移入は全くできないのですが、なぜか深い闇に惹きつけられてしまう…とても不思議な作品でした。

 

親の莫大な遺産を受け継ぎ森に囲まれた屋敷で暮らす青年・フランク。

フランクには美しい婚約者・アンナがいましたが、年上の家政婦・アイリスが2人の関係に嫉妬して呪殺してしまいます。

悲嘆にくれたフランクは真夜中に墓を暴きアンナの遺体を持ち帰りますが…

 

アンナのお葬式でこっそり遺体に薬液を注入するフランク。

「死霊のしたたり」のように蘇生を試みているのかと思いきや、フランクの特技は剥製をつくること。

こっそり遺体を持ち帰るとメスで勢いよく腹を掻っ捌き内臓を取り出し血抜きを開始。

その上取り出した恋人の心臓を丸かじりするフランク。(この時点でもうついて行けん)

しかし遺体を持ち帰る途中に強引に車に乗り込んできたヒッチハイカーの女性がそんなフランクの様子を目撃していました。

口封じのためヒッチハイカーを惨殺するフランク。

なぜか爪を1本ずつ剥いで殺すという訳のわからないアクションが折り込まれます(笑)。

 

フランクは完成したアンナの遺体を大事に自宅ベッドに横たえます。

屍姦でもするのかと思いきやジョギング中に出会った若い女性を家に連れ込みベッドイン。

亡き彼女の死体を横目でみながら生きてる女とヤる…拗らせすぎの性癖にドン引き…!!

亡くなった彼女を想ってはいるけど死体じゃ勃たないので代用品で若い女の身体が欲しいってことなんですかね…そう考えると筋が通っているような…(混乱)

 

案の定隣の死体に気付いた女性は絶叫。女性の首に噛みつきまたもや無関係な人間を手にかけてしまうフランク。

そんな問題児・フランクには死体処理を難なくこなし傍らに寄り添う謎の家政婦・アイリスがいました。

涼しい顔で死体にナタを振り下ろし手際よくバラバラに。

風呂に硫酸を溜めて死体を骨まで溶かし、残った部分を庭の土へ…

(このあとこの風呂場普通に使うのがまた…)

 

そもそもこの家政婦が嫉妬心でアンナを殺したのが事の発端ですが、13歳の時に両親を亡くしたフランクにとってアイリスは母親代わりの存在だったようです。

坊ちゃんの気分が晴れないときには乳を差し出し2人で母乳プレイを始めるなどただならぬ関係。(変態プレイばっかりで頭クラクラ)

家に置かれたアンナの亡骸を疎ましく思うアイリスでしたが、「死体のことを黙っててくれれば結婚でも何でもしてやる」とフランクが言うと大喜び。

金目当てなのか、若いイケメン坊ちゃんと結婚したかっただけなのか…狂った女がみせる乙女な一面がすごいギャップ。

 

しかしフランク坊ちゃんは予想を上回るクズで、若い女を求めるのをやめることが出来ませんでした。

ある日クラブでみかけた若い女性をお持ち帰りするも、アンナに瓜二つの妹・エレノアが家にやって来ると知ると、先の女を大急ぎで帰宅させ、エレノアを迎え入れようとします。

節操のないフランクの裏切りを知ったアイリスは激怒。揉み合いの末、フランクはチ○コを刺されてしまいます。

アンナの死体の行方を調査していた墓守がフランクの屋敷を訪れると、焼却炉には燃えた亡骸が、そして剥製の作業場にはアンナの死体が横たえられていました。

墓守が死体を持ち帰ると死んでいるはずの女性が絶叫して目を覚ましました。

死体の正体はアンナではなくエレノア。

なんとフランクはあれだけ愛でていたはずのアンナの剥製を処分して、エレノアを新たに剥製にしようとしていたのですね…

顔が同じ女、どうせなら新しい身体のやつが欲しいなあ…とかなったんですかね。(最低の極み)

 

純愛ゆえに狂気に走るみたいなストーリーを期待してたらとんでもない奇行ばかり繰り返すフランクにドン引き。

けれど口では綺麗事言ってても下半身の衝動に逆らえない男の哀れな性と、若い男と結婚したくて色々画策したのに逃げられてしまう中年女の悲しみと…

男女の愛憎劇の最も醜い部分を強烈なエログロで見せられたような、なぜだか引き込まれてしまうものがある作品でした。

 

探偵役のはずの墓守のおっちゃんが警察にも連絡せず行動が理解不能だったり、ブードゥー教のババアは何やったん、最後死んだお姉ちゃんが妹に語りかけてくるとこオカルト展開唐突すぎない…??と話がてんこ盛りでとっ散らかってますが、ビックリ映像のオンパレードで退屈はさせられません。

舞台の小さな田舎町は童話にでも登場しそうな美しい景観で、そんな景色で繰り広げられる汚いエログロ映像という対比がまた凄まじいです。

音楽はゴブリンですが、クールなサウンドが陰気なムードと不思議とマッチしていてとてもカッコいい。

 

主人公格のはずなのに扱いがぞんざいな死体ヒロイン・アンナ役は「ビヨンド」のシンツィア・モンレール。

しかし圧倒的に印象に残るのは中年の家政婦・アイリス(フランカ・ストッピ)。

死体解体を終えたばかりのアイリスがリゾットを汚く頬張るシーンが本作屈指の名シーン。

変態坊ちゃんの相手が務まるのは変態家政婦しか居なかったんじゃないかと思いますが、やっぱり若い女がよかったのかねえ…

カラッとした元気の出るイタリアンホラーとはまた異なるトーンで、じめじめズーンとした雰囲気のホラーですが、これはこれで味わい深いものがありました。