どうながの映画読書ブログ

~自由気ままに好きなものを語る~

ドラマ「岸辺露伴は動かない」がディ・モールトベネだった!!

年末NHKで三夜連続放送されていたのを録画にて一足遅れて鑑賞。

(1)「富豪村」

(1)「富豪村」

  • メディア: Prime Video
 

 「ジョジョの奇妙な冒険」第4部に出てくる岸辺露伴というキャラクターを主人公にしたスピンオフ漫画が原作。短編集になっている漫画の中からエピソードを選んでドラマにしたみたいです。

地雷じゃないかと恐る恐るみたところ、高橋一生露伴が予想以上に良かった!!

見た目は和顔ですが、ちょっとサイコパスっぽい威厳ある冷たい目線がピッタリ。

「…じゃあないッ!」といったジョジョっぽい話し方も自然に再現されてて、これぞ露伴先生って感じでした。

スタンドや杜王町と言うワードはあえて出さず、とってつけたような説明シーンが一切ないのも潔かったです。ジョジョを知らない人にとってもこの方が案外とっつきやすかったのかも。

他者を本にしてその人の情報を得られる&書き込んで行動を操作できるって改めてみてもなかなかチートな能力。

アニメっぽくみせずに、横溝正史江戸川乱歩っぽい大人向けの雰囲気に落とし込んでたのがとても良かったです。

2巻ある原作漫画のうち自分は1巻だけしか読んでなかったのですが、1番面白いのを最初にぶつけてきたんじゃないかな、と思ったのが1話目の富豪村。

 

1 :富豪村
山奥に豪邸が立ち並ぶ謎の富豪村。その所有者は各界で成功した大富豪ばかりだと言う。
担当編集・京香の誘いにより村を訪れた露伴だったが、この村で土地を買うには厳しい「マナー」の試験をクリアしなければならなかった。

荒木先生自身ホラー映画がお好きなようでエッセイ「荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論」にて「田舎に行ったら襲われた系ホラー」について語っていました。

見知らぬ土地の密室感、コミュニケーションの断絶。最近でいうと「ミッドサマー」的不気味さが本作にも溢れています。

マナーで他者から測られるという焦燥感は身近に感じられる恐怖でもあって設定だけでもう面白い!

正しい正しくないでヒトをあんまり追い詰めるのどうなんよ、マナーより大事なのは思いやりだろうとやり返す露伴先生が爽快でした。

編集者・京香ちゃんの大切なものが愛犬と恋人っていなんていい娘なんでしょう。

彼女のレトロスタイルな服装も可愛らしくて作品の雰囲気にピッタリ、マナー判定の子も原作に忠実ないで立ちで衣装も含めすごく良かったです。


2:くしゃがら
漫画ではなく小説版のエピソードだったらしく話を全く知らないまま鑑賞。

露伴の同僚の漫画家、志士十五は担当編集が寄越したという放送禁止用語リストに夢中。なぜかその意味が記されていない「くしゃがら」という言葉に取り憑かれたように強く興味を持ち、次第に言葉に乗っ取られていく…

言葉の持つ魔力に狂わされるというオカルトホラーな1篇で、十五役の森山未來の狂気の演技が鬼気迫っていて引き込まれました。

露伴先生と編集者の京香はくしゃがらの言葉を聞いてもなぜか飲み込まれず…好奇心旺盛でも(いい意味で)自分優先で執着はほどほどな人だからセーフだったのかな。

最後の番組のワーニングまでホラーに徹していたのがいい演出でした。

 

3:DNA
インテリアデザイナーの真依は6年前の事故で夫を失い、1人で娘の真央を育てていた。
逆さま言葉でしか話せず目の色も皆んなと違っている真央は家に引きこもり気味。そんな真央が懐くようになったのは、交通事故で記憶を失った京香の恋人・太郎だった…

臓器提供された側にかつての故人の記憶や生来の性格が引き継がれてしまっていた…という、東野圭吾の小説にそんな話なかったっけというオチのストーリーでした。

娘を守ってるつもりが隠してた、個性を普通で片付けられたら困ると悩むお母さんの心情が丁寧に描写されてたのが良かったです。

顔がメモ帳になるだけでなく、本そのものになってしまったヘブンズ・ドアーの見せ方にちょっとビックリしたけど、並べた本と家族3人手を繋ぐところが重なる演出も綺麗でした。

原作では富豪村エピソードにしか出なかった京香がドラマでは完全にレギュラーになっていてかなり脚色されてるようでしたが、1話から出てた中村倫也の記憶が元に戻るかと思いきや、別の新しい人生を歩む、そのラストが意外。

私の好きな彼はもういないとアッサリ見送れる京香ちゃんが潔くて、大人しいヒロインに収まらずジョジョらしい女性キャラクターになってると思いました。

露伴先生のキッチリしてて案外面倒見がいいところも3エピソードでしっかり滲み出ててよかったです。

富豪村が漫画でも飛び抜けて面白かった印象ですが、この他記憶に残ってるエピソードといえば、懺悔室と密猟の話。

ドラマの撮影は夏だったそうですが、比較的映像化しやすいのを選んだのかなと思います。

アニメ版の脚本も担当されてた小林靖子さんが今作も担当されてたとのことですが、原作破壊せず上手くアレンジした安心の実写でした。

スタッフロールみてたら櫻井孝宏さん(アニメ版の露伴の声)も声だけのゲスト出演していたようで、ついつい確認。

1話目…差し入れ渡してくれる刑務官
2話目…冒頭ラジオの声
3話目…病院のアナウンス

そんなファンサービスも嬉しかったです。