ダリオ・アルジェント監督、ジェニファー・コネリー主演の「フェノミナ」を久々に観た。
フェノミナ -製作30周年記念HDリマスター特別版- [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
- 発売日: 2015/10/02
- メディア: Blu-ray
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今観ても面白かったが、子供の頃は「サスペリア」とともに鑑賞を離脱したトラウマ作品のひとつだった。
そしてこの「フェノミナ」、友人宅でプレイしたホラーゲーム「クロックタワー」と大いに重なる作品だ。
ホラー映画を観るより、ホラーゲームの方が怖いかもしれん…と、「クロックタワー」にもビビりまくった思い出がある。
今日は「フェノミナ」の感想を混ぜつつ、「クロックタワー」の思い出と、「クロックタワー、フェノミナと似すぎだろ!」「サスペリアにも似てるだろ!」というあるある語りをしたいと思う。
◆ゲーム「クロックタワー」とは??
「クロックタワー」は、1995年スーパーファミコンにて発売されたアドベンチャー・ゲーム。(その後、各機種移植)
基本、館の中にて殺人鬼から必死で逃げまくるというゲームだが、当時はおそらく画期的なゲームシステムで、主人公を通し、プレイヤー自身もまるで襲われているような、そんな怖い体験ができるゲームだった。
パッケージを見ていただくと分かるとおり…
主人公が「フェノミナ」のジェニファー・コネリーに激似な上、名前も同じくジェニファーという。
「クロックタワー」シリーズは全部で4作品リリースされているが、このジェニファーが主人公なのは、1と2だけ。
自分は基本ゲームをしない人間な上、家族の誰もゲーム機を持っていなかったのだが、漫画&ゲーム好きな小学校からの友人・Bちゃんから、「いとこにもらった面白いゲームがあるけど、1人じゃ怖いから一緒にやって欲しい。」といわれ、お供させてもらった思い出がある。(しかしゲーム音痴な上、あまりの怖さにビビりまくり、応援要員以下となった。)
「クロックタワー」は有名なゲーム・ディレクターさん(河野一二三氏)がアルジェントファンなのか、たくさんのオマージュが込められており、かなり雰囲気のあるゲームになっている。
◆「クロックタワー」のあらすじ&システム
ゲームのストーリーとしてはこんな感じだ。
主人公・ジェニファーは両親を亡くし、孤児院に引き取られた美少女。
ある日、新しい養育先が見つかったと、友人3人とともに、メアリー先生に連れられて、時計塔のある大きな屋敷にやって来る。
館主を呼びに行ったメアリー先生が戻らないのを不穏に思ったジェニファーが、友人たちから離れると、広間から大きな悲鳴が。
何かが起こってみんな逃げたのか散り散りになってしまう。
そこへ、大きなハサミを持った殺人鬼・シザーマンが姿をあらわし、ジェニファーに襲いかかる…!
こんなプロローグだったと思うのだが、とにかくシザーマンが怖い!!
出てくるのが本当に突然で、いきなり超不穏なBGMがかかり、「シャキン、シャキン」というハサミの音とともに追いかけてくる。
ジェニファーの動きがかなり遅めなのも恐怖ポイントで、気を抜くとすぐ追いつかれる。
隠れ場所を必死で探して隠れると、何とかやり過ごせたりした…でも焦って、どこに逃げればいいのかパニックになるんだよねえ。
またゲームシステムとして、ジェニファーが歩いたり、走ったりと運動すると、キャラのアイコンの背景の色が変わるという仕組みがあった。
青→体力満タン
赤→体力低下 床に座らせ休ませると回復
こんなんだったと思う。
体力低下しても動けなくなるわけではなかったので、「なんか鬱陶しいけど無視していいよね!?」とBちゃんにきいたら、「体力ゲージがない状態で攻撃食らうと、生存率が低下するから、ちゃんと気にして!」といわれた(笑)。
一応ジェニファーもシザーマンに反撃可能!?…といっても、攻撃は出来ないんだけど、ボタン連打で、防御みたいなのが出来るんだよね。
それが体力ゲージがいいときには有効っていう。
大ハサミを掴んで!?シザーマン押し退けるときのジェニファーはすごい。真剣白刃取りかよ!!
ただこのゲーム、シザーマンよりもっと恐ろしい存在がいて、それが何と驚きの黒幕・メアリー先生である!!
バッドエンドを沢山みた気がするが、メアリー先生に殺されるエンドの方が後味が悪かった。
1番怖かったのは…
なんか薬棚あけたらジェニファーが勝手に薬飲んじゃって、気付いたら牢屋みたいなとこに入れられてて、友達が助けに来るんだけど、その子が目の前でメアリーに殺されて…。
そこから必死で大きな木箱に隠れて、回避をひたすら祈ってたら、メアリー先生が、「そこにいるのは分かってるわよ」的な台詞を言って、結局銃殺されるやつ…。
もうBちゃんと絶句でした。
◆「フェノミナ」には哀しさがある
一体なぜメアリー先生は、ジェニファーの敵なのか??
実はメアリーは、なんとシザーマンのお母ちゃんなのである!!
ジェニファーたちのことは、息子の殺しの玩具にするため館に連れてきただけという、最悪のオカン。
この辺りのシナリオも映画「フェノミナ」をトレースしまくっている。
「フェノミナ」でも、奇形のある息子が日常的にハサミなどの凶器を使い殺人を犯していて、母親であるブルックナーが息子を庇い、自身も殺人に手を染めていた…というのが事件の真相だった。
ブルックナー役は、「サスペリアPART2」で、ジャンナを演じていた女優さん、ダリア・ニコロディだが、終盤の彼女は迫力がある。
「クロックタワー」のメアリー先生の方は、完全な悪の雰囲気のように思うけど、久々に「フェノミナ」をみたら、ブルックナーとその息子の方はちょっと可哀想なところがあるかも…と思ってしまった。
精神に異常をきたした凶悪犯!?に暴行され、その後妊娠。生まれてきた子供の見た目は皆と全く違っていて、鏡をみると狂って殺人を犯してしまう。それでも子供がかわいいから、必死で庇って生きてきた…。
ブルックナーは、普段はメガネをかけていて、神経質そうだがおとなしい雰囲気。ラスト、メガネを外してからの姿は別人のように凶悪な表情で、別人格つくっちゃったのかな…なんて思ったりした。
「フェノミナ」は、虫と交信できる夢遊病のジェニファーといい、身体に障害のあるマクレガー博士(ドナルド・プレザンス)といい、差別とかいじめとか、「みんなと違うものの孤独」みたいなテーマを感じる。
これはゲームにはないドラマだ。
◆ここがアルジェントに似てるよ!!あるある
殺人鬼の息子を庇う母親…という設定が両作品の大きな共通点だが、他にも細かいところで沢山、「クロックタワー」、アルジェントトレースしまくりだろ!!というところがあったと思う。
思い出して、いくつか挙げていきたい。
●いきなり落下する床
屋敷を探索し、2階廊下を歩いていたら、床がいきなり抜け落ちて先に進めなくなってしまうというイベントがあった。これが本当にいきなりなのでビビりまくる。
「フェノミナ」でも夢遊病のジェニファーが旧校舎を夜中歩き、古い床が抜けおちて転落するという場面があるが、雰囲気が激似である。
●人形の吊るされた子供部屋
屋敷の中にすさんだ子供部屋があったが、お人形が首を吊るすように設置されていたと思う。今思うとめっちゃ「サスペリアPART2」ぽい。何ともいえん不気味さがある。
●鳥に襲われたら布をかぶせようね
館の一室に、中にオウムが閉じ込められている鳥籠があった。「このオウムを放ったらかしにしてはいけない」とBちゃんのいとこさん情報が事前にあった。放っておくとこの部屋に隠れた時にオウムが喋ってバレるんだっけ??
鳥籠から出すと襲ってくるが、ベッドのシーツをかぶせてしまうと無害に。
「サスペリア」でスージーが似たようなことをしていたなあ、と類似性に驚く。
●義理堅いカラスは味方
オウムは敵だったが、途中出てくるカラスを助けると、このカラスが後々メアリー先生を襲って、助けてくれる。
「フェノミナ」のジェニファーが虫をよんで助けてもらうシーンと重なる。
●虫に襲われるのは主人公の方…
お風呂場だったか、台所だったか、虫がいっぱいいて、襲われるイベントがあったと思う。
「フェノミナ」では虫はジェニファーの方の味方だったが、いずれにせよ気持ち悪さは存分に伝わってくる演出。殺虫剤のアイテムを入手しているかがカギ…この辺はゲームならでは。
どーでもいいが、虫を操るといえば、アニメ「DARKER THAN BLACK」のターニャ思い出すわ…。
超能力バトルになってしまうと、弱いかもしれんが、なかなか嫌な能力。
●上から降ってくるシザーマン
広間の天井がステンドグラスみたいになってて、そこからいきなりシザーマンがガラスを突き破って降ってくる…という襲われ方があったと思う。
ここは「サスペリア」のパットのシーンを彷彿させる。
●物を動かして、その場の状況から逃げろ!!
このゲーム、主人公を操作する場面が多く、大きな棚を動かして、何かを発見したり、そんな場面も多々あったように思う。(走るとすぐ体力ゲージ減るくせに、意外なバカ力)
「サスペリア」でサラが死から逃れようとする場面…空き箱のようなもので高さをつくり、高い位置にある小窓から何とか逃げようとしていた場面があったと思う。
「あるものを駆使してその場の状況から逃れようとする」という描写はなかなか臨場感があり、恐怖度が高い。
アルジェントのいたぶりの演出のゲームとの親和性に驚く。
●ザ・ワールドで、魔力消失…!
最後のネタバレになってしまうが、タイトルが「クロックタワー」というだけあって、時計塔が重要な意味を持っている。
時計をとめると、館の魔力が失せ、不死身のようなシザーマンも破滅へ…!
この展開は、「サスペリア」のスージーが、マルコス本人を攻撃し、すべてを崩壊させた展開ととても似ていると思う。
こうやって書き出すと、「クロックタワー」、「フェノミナ」より「サスペリア」との共通点の方が多いかもしれない。
オカルト要素がとりいれられているし、全体的に館の雰囲気がゴシック調で、美術も「サスペリア」っぽい。
どっちもホントに怖かったです…!
◆「フェノミナ」っぽいのは「クロックタワー2」の方かも!?
大きくなってから、Bちゃんと、続編である「クロックタワー2」も一緒にプレイした。
子供時代の補正もあるかもしれないが、恐怖度でいえば1作目が圧倒的だったように思う。
2作目は、前回の館の惨劇から生き残ったジェニファーがセラピーを受けていて、そこに倒したはずのシザーマンがあらわれる…という展開。
より謎解き要素(ジャーロもの的な)と、サイコホラー色が強かったと思う。
現実世界が舞台でそこに非日常世界が展開する…。2の方が「フェノミナ」に近いといえるのかもしれない。
ダブル主人公制で、ジェニファーともう1人、ヘレンという名前の30歳くらいの美人と、どっちでプレイするか選べて、ヘレンでクリア。
金髪美女・ヘレンのことを「フェノミナ」の美人校長にちょっと雰囲気似てるかもと思っていたが、こちらを読むとモデルは「Xファイル」のスカリーらしい…。
そしてエドワードという名前の美少年キャラが登場するが、どう考えてもコイツ、あやしい。エドワード・シザーハンズやん!!
随分前のプレイ(※ほぼBちゃんのプレイ鑑賞)だが、自分は圧倒的に1の印象が強い。けど、両作品とも、映画愛の詰まったホラーゲームではないかと思う。
ちなみにBちゃんは、前2作と全く異なるらしい3も4もプレイしていて、全部面白いのだと語っていた(笑)
先月から久々にアルジェント作品を鑑賞したが、改めてみても色褪せないどころか、今更色々気付くこともあって、面白い。
今回はゲームの思い出記事になったが、他の作品もそのうち観れればと思う。