ウェス・クレイヴンが監督、「ゴースト ニューヨークの幻」のブルース・ジョエル・ルービンが脚本を手掛けた1984年の作品。
前半は良いのに後半が迷走気味、けれど美少女ロボゾンビ!?を演じたクリスティ・スワンソンが魅力的で記憶に残る1作でした。
IQの高い天才少年ポール・コンウェイは母親と共に閑静な住宅街に引っ越してきました。
15歳で大学に勤める彼が生み出した最新作はAI搭載のロボット、BB。(ショートサーキットに似てる)
新聞配達の少年・トムと友情を育み、お隣に住む少女・サマンサといい感じになりますが彼女には何か秘密がある様子。
サマンサの父親は彼女に度々暴力を振るっていたのでした。
ハロウィンの夜、ポールたち3人は街に住む意地悪ばあさんにイタズラを仕掛けますが、BBがショットガンで吹き飛ばされてしまいます。
続く感謝祭ではサマンサが酔った父親に階段から突き落とされ脳死状態に。
大切な存在を立て続けに失ったポールは病院に忍び込み、BBの小型コンピュータチップを死んだサマンサの脳に移植し蘇生を試みますが…
閉塞感漂う街で孤独な少年少女が心を通わせる前半はジュブナイルらしいワクワク感があります。
ところが中盤からいきなりマッドサイエンティストものの様相に。
フランケンシュタインのように蘇生させられたサマンサ。ロボットダンスのようなカクカク動きが妙に可愛らしかったり、胡乱げな目でじっと見つめてくるのが何とも物悲しかったり、ヒロインの女優さんがハマり役です。
コンピュータ移植によってダメージを受けた脳の部分を繋げて回復??しようとするも上手くいかず、怒りの記憶だけが強く残っていたのか、暴走し始めるサマンサ。
まずは自分を殺した父親を成敗…!!燃え盛る地下室での処刑はフレディとイメージが重なります。
さらにBBの怒りの記憶も引き継いでいたようで、ロボを破壊した意地悪ばあさんも成敗…!!
バスケットボールをばあさんに投げつけるとなんと頭部が大爆発、のたうち回る胴体。
スキャナーズばりの突然の凄惨な光景に唖然となります(笑)。
ウェス・クレイヴンも脚本のルービンも後半はサイコサスペンスにしたかったそうですが、映画会社側の要求でホラー色を無理矢理強めることになったのだとか。
そのせいか所々妙に浮いた場面があり、サマンサが父親を刺し殺す夢の場面は「エルム街の悪夢」が強引にねじ込まれたよう、2階からダイブして襲ってくる荒唐無稽な展開など全く馴染んでないシーンがちらほら。
ヒロインが自分を助けてくれなかった街で暴走するというプロット自体は悪くないのですが、ポールとサマンサの人物描写が不足していて、好きな人を蘇らせたいポールの執念や、ゾンビサマンサの無理矢理蘇生された苦しみなどがいまいち伝わってきません。
ラスト、ポールの名前を思い出してチョキチョキ走りでこちらに向かってくるサマンサ…警察官に撃たれてしまいここは切なさ感じさせるエンディング。
これで終わっていたら良作だったと思いますが、もう一度サマンサを蘇生させようと病院に忍び込むポール。
サマンサの遺体が破れて中からBBが出てきてポールを襲う…!!
B級映画がZ級になったかのような支離滅裂なエンディングに呆然。
おまけにエンドロールに流れるBB…BB…連呼の謎の曲が別の意味でホラー(笑)。
主役、お前やったんかい!!
クレイヴンに任せておけば小粒のいい作品に仕上がったのでは…と残念に思われますが、思いがけず気前のいいスプラッタがみれたり、サマンサ役をはじめ主演陣がフレッシュで魅力的。
80年代らしさに満ちていて充分楽しめるホラー作品でした。