人形の出来がイマイチやなーと思って気になりつつもスルーしてたチャッキーリメイクを観てみました。
「ゾンビ」→「ドーン・オブ・ザ・デッド」のように別の方向性を目指したのが吉、哀しみホラーの要素はしっかりあって個人的にはアリな作品でした。
とあるベトナムの工場、パワハラを受けた社員がバディ人形のセキュリティ制限をオフに。
ライン工にめっちゃ権限あるやんとツッコミつつ、オカルトものだったオリジナルとは全く異なるチャッキーの誕生。
子供たちはみんなスマホやSNSに夢中、普通の人形じゃもう売れないからAI搭載。
便利すぎて生きにくいこんな資本主義の世の中じゃ…そんな呟きが聴こえてきそうな現代風の味付けが上手いです。
主人公のアンディはオリジナルよりグッと年上。
シングルマザーのオカンは昼間っから彼氏を部屋に連れ込むわ、商品横取りしてくるわとファミリーにドリーム感がゼロ。
リミッターオフのチャッキーは禁止用語もバンバン口にしてまるで本当に意志があるかのよう、孤独な少年の心を掴みます。
しかし善悪の認識がつかぬままアンディを喜ばせようとして彼が怒りを抱くものを手にかけてしまいます。
殺人シーンも機械仕掛けだったり思った以上にグロくて工夫されていました。…でもなんだろう、最近の映画は絵が整いすぎてて痛覚に訴えかけてくるものが少ないなあ。
オカンの恋人、ロクな男じゃなさそう…と思ってたらやっぱり不倫男。
覗き魔は酷い死に方、ご近所のおばあちゃんは巻き込まれてひたすら可哀想。着ぐるみから首ブッ刺された人もえらいトバッチリだなあと思ったけど、そういえばこの人も浮気男だったわね。
ラスト、チェーンソー片手にお母さんを助けに戻るアンディが「エイリアン2」のリプリーみたいでカッチョよかったです。
理不尽に思うこともたくさんあるけど、だからって何もかも切り捨てるわけにはいかないんだ…!!己のダークサイドともいうべきかつての友に立ち向かう少年。
チャッキーとアンディのやり取りがちょっと「マジック」に似てるようにも思いました。
ご近所のお友達が何でも受け入れてくれすぎ!?に思いましたが、「悪魔のいけにえ2」を皆で爆笑してみるとかなんていいお友達。
こういう怖いものを子供で集まってみるの背徳感と妙な連帯感が生まれて楽しかったりするもんですが、チャッキーには悪影響だったようで…(悪人というより残念な子扱い、チャッキー=レザーフェイスってことか)
最後に人形をしっかり破壊して燃やすのがエライ。最近の子はしっかりしてるわー。
人間のような顔をみせる人形が恐怖だったオリジナル版の魅力は全く失せてしまったけれど、表情の乏しさ含めメンヘラ感が漂っててこれはこれで味があるように思われました。
オリジナルの焼き直しをするわけにもいかないし、変えたら変えたで文句言われるリメイク界隈、現代風に上手く別物に料理してなかなか健闘してる作品でした。