「あなたに降る夢」のアンドリュー・バーグマン監督とニコラス・ケイジが初タッグを組んだ92年の作品。
内容は完全におバカコメディですが、ニコラス・ケイジが破天荒キャラにビシッとハマっていてなんか好きな作品でした。
NYの私立探偵・ジャック(N・ケイジ)は母親が危篤の際、「私が死んでも絶対に結婚しないでね」と厄介な遺言を残されてしまい、恋人・ベッツィーへのプロポーズを躊躇っていました。
どんだけマザコンやねん!って感じですが、オカンの形相が完全にホラー、濃ゆいニコラス・ケイジのオーバーリアクションと相まって冒頭から爆笑してしまいます。
(母ちゃん役アン・バンクロフトなの豪華)
子供が5歳のときに夫に捨てられたというお母さん、生前から「結婚はディザスター」と語っていたそう。仕事では浮気の素行調査ばかりのジャックは家庭を持つことに懐疑的になっていました。
…が彼女の方が業を煮やしラスベガスで結婚しようということに。
ところが土壇場で怖気づいたジャック、謎のギャンブラー・トミー(ジェームズ・カーン)に乗せられて賭博に興じた結果、莫大な借金を作ってしまいます。
「お前の彼女を週末レンタルさせてくれたら借金はチャラにするよ」とめちゃくちゃな要求をしてくるトミー。
実はトミーは偶然ロビーで見かけたベッツィーが亡き妻の生写しだったため一目惚れ、ジャックから彼女を略奪しようとゲームは仕組まれたものだったのでした。
登場人物全員めちゃくちゃ(笑)。
特にニコラス・ケイジのキャラは破綻しまくっていて、ベッツィーにデート同伴を頼んだくせにその後嫉妬に狂って八つ当たりしてきます。
対するおっさんのジェームズ・カーンもギラギラしたしつこいジジイを好演。
彼女をハワイの別荘に連れて行き特大ダイヤを渡してプロポーズ。これは心が揺らいじゃう!?でも相手おじいちゃんやで!!
生前は奥さん一筋だったみたいで一途な男に思えなくもないのが哀しいところですが、手段を選ばず「ジャックは結婚が嫌だったから君を売ったんだよ」などと嘘も交えて必死で口説いてきます。
ベッツィーを取り戻すと決意してハワイを爆走するニコラス・ケイジ。しかし入れ違いで2人はベガスに戻っており間もなく結婚することに…(何というスピード感)
急いで戻ろうとするもベガス行きの便が全くなく空港で無謀なヒッチハイク。
すると快く彼を拾ってくれる謎の集団が…
なんと彼らはショーのためスカイダイビングでベガスに降り立つ「フライイング・エルヴィス部隊」でした。
いきなりパラシュートを渡され血の気を失うジャック。
「黄色の紐を引っ張ったあと赤でいいんだよね??」
「そうだよ」
(降りる直前)
「みんな赤→黄だからな」
「さっきと違うやん」
「ジョークだってば、ガハハ!!」
命懸けの冗談飛ばしてくるエルヴィス集団がおっかなすぎてビビりますが、ベガスの空に降ってくる無数の光るエルヴィス。
その中には無事ジャックの姿が…
「私を追いかけて来てくれたのね…!!」と都合よくベッツィーと合流するジャック。
抱き合う若い2人が愛を確かめ合って結婚、めでたし、めでたし…
…とツッコミどころ満載のストーリーですが、ダイビングを経てなぜかスッキリした顔のニコラス・ケイジ、家族の呪縛から解き放たれてのハッピーエンド。幸せにおなり…!!と送り出したくなります。
音楽はエルヴィスをはじめビリー・ジョエル、ブルース・スプリングスティーンなど豪華に彩られていて、エルヴィスものまね大会などエルヴィス好きの人は楽しめることでしょう。
ハワイの謎の世捨て人がマーロン・ブランドにちょい似だったり、ジェームズ・カーンが「ゴッドファーザー」を思わせるやり取りをしていたりと細かいところもオモロイです。
ニコラス・ケイジは案外ロマコメと相性がいいと思う。
スカッとする陽気なおバカコメディでした。