どうながの映画読書ブログ

~自由気ままに好きなものを語る~

「ビデオドローム」4Kディレクターズカット版観てきました

8年ぶりの新作が夏に控えているクローネンバーグ。そのプロモーションの一環なのか「ビデオドローム」の4Kディレクターズカット版が公開されるということで観に行ってきました。

↑グッズとパンフはなかったけど、入場特典でアートなポストカードをいただきました♫

 

スキャナーズ」「ザ・フライ」「デッドゾーン」など分かりやすい作品が好きなボンクラ人間にとっては難解な印象しかなかったのですが、改めて劇場で観ると面白かったです。

冒頭で日本のポルノ映画を買い付けるかどうか協議してる会社の人たちや、本物の噂があるスナッフフィルムの存在など80年代ビデオブームが映し出されたようなムードに引き込まれてしまいます。

ケーブルテレビ局に勤めるマックスは過激な映像を探しているうちにビデオドロームと呼ばれる謎の映像に触れます。実は〈ビデオドローム〉には見たものの脳に腫瘍を生じさせ幻覚をみせる効果がありました。

本作ではビデオがまるでドラッグのような扱い。

自分の肉体がビデオデッキになってしまい、入れられるビデオによって思考も行動も支配されてしまうの、シュールですが怖いですね。

世界にはスマートフォンやPCが普及し、メディアで溢れかえり、インターネットの大海の中から刺激的なコンテンツに容易くアクセスできるようになった…

…と作品のチラシに書いてありましたが、何が本物か判断が付かなくなって認知が歪む怖さ、メディアに溺れて思考力を失っていく人間の愚かさ。

物質的豊かさに満たされ、リアルでの活力をどんどん失い、架空の刺激ばかり求めてしまうことへの危惧(ホラー映画や暴力描写のある作品を好む自分のような人間にとっては複雑な気持ちにさせられますが)…など真に迫ってきます。

途中に出てくる幻覚記録装置はVRゴーグル、テレビを崇拝する集会所はネットカフェのよう、ビジュアル面も色々先取りしているようで凄かったです。

お腹くぱぁーも強烈ですが、テレビを鞭打ちしてのSMプレイのシーンもどんな頭してたらこんなの思いつくんだろう(笑)。

カイロの紫のバラ」をクローネンバーグが撮ったらこんな感じ!?虚構と一体になるシュールすぎるラブシーンにビビりました。

 

ストーリーは混沌としていますが、意外に今の時代にみた方が親しみやすい作品なのかも。

次々に変な人が出てきて、誰が敵か味方かも分からないようなこの監督独特の孤独感には惹きつけられます。

普通にみると意識がとびがちな作品、映画館で集中して観れてよかったですし、4Kの映像がめちゃくちゃ綺麗。そしてそんな映像でも全くちゃちく映らない特殊効果にも圧倒されました。