アメリカで評判が悪かったそうで観るかどうか迷っていたのですが、近隣の映画館で回数多めで上映してくれていたので観てきました。
オリジナルとは別物と覚悟、あまり期待せずに臨みましたが…それにしても後半が酷くて、残念ながら大変ガッカリな作品でした。
◇◇◇
ハイチの地を旅行中のヴィクターとソリーンの夫妻。妊娠中のソリーンは地元の祈祷師の祝福を受けますが、その後地震の被害に遭って重体になってしまいます。
夫ヴィクターは赤ちゃんの命か、妻の命かどちらかを選ぶことに…
その13年後、ヴィクターは成長した娘・アンジェラと2人で暮らしていました。
亡くなった母に対し複雑な想いを抱いているアンジェラ。ある日キリスト教徒のクラスメイト・キャサリンと共に森で降霊術を行いますが、その後2人とも行方不明に。
3日後、無事発見された2人でしたが、奇妙な行動をするようになり、悪魔じみた言動がどんどんエスカレートしていきます…
(以下ネタバレ)
異国の地で始まるオープニングはオリジナルリスペクト!?
元々信仰心の薄い主人公が宗教的なものを嫌うようになった理由もしっかり描かれていて、序盤は悪くなかったように思います。
今回は取り憑かれた少女が2人というのが話のポイントですが、キャサリンの親である白人一家は毎週教会に通う信心深い人たち。
主人公や地元警官に強く当たるあたり「汝の隣人を愛する」人たちにはとても見えず、欺瞞的な感じもするのですが、如何せん描写が中途半端でいい印象も悪い印象も残らない。
それでも、
・何の接点もない黒人と白人のファミリーが共通の危機に立ち向かう
・エクソシストなのに神父が全く活躍せずご近所さんパワーで乗り切る…!!
…というストーリーは意外性があって個人的には着眼点は面白いと思いました。
信仰の消滅、共同体の不在、家族崩壊などはオリジナルにもあったドラマ要素だと思います。
厳しいこの時代、絶対的に頼りになる存在なんてない…いざという時に頼れるのは近くにいる人たち…個人主義まっしぐらの時代に地域社会の重要性を訴えるストーリーが逆に新鮮!?
作りようによってはもっと見応えのあるドラマになったと思うのに、主人公のジム仲間やお隣のおばちゃん達が何の過程もなくいきなり協力してくれる流れなので、感動もへったくれもありません。
パンフを読むとキリスト教の複数の宗派の人たちとアフリカの土着信仰の人が協力してくれていたみたいですが、仏教徒やイスラム教徒もここに加わったらアウトなんですかね…
そして「過去に同じ体験をした人」としてエレン・バースティン演じるクリスが再登場します。
特別ゲスト的立ち位置かと思いきや、前線にでてきて悪魔祓いしはじめるからびっくり(笑)。
リーガンの事件の後に本を出版し、世界に悪魔祓いを啓蒙してきたのだといいますが、あなたそんな人でしたっけ…??
フリードキンの公開版のラストは神父に助けてもらったあと信仰の象徴であるメダルをクリスが拒絶。それがなんとも言えない寂寞感を残したものでした。
成長したリーガンがエクソシクトになっているならまだ分かる気がするけど、クリスはそんなキャラじゃないんじゃないかな…
その上「リーガンとは本が原因で喧嘩して絶縁状態」なのだと言いますが、よその子救う前に自分の子大事にしたれや!!と思わずにいられない(笑)。
クリスの登場シーンは要らなかったから、その分の尺を他メンバーのドラマに割いた方がよかったのではないかと思いました。
さらにしっくり来ないのがラスト。
妻の思い出の品を娘にかけて許しを乞う主人公。ハイチの地で受けていた祝福が生きたのか、母の愛を信じたことが悪魔を退けたのか、なんでか全く分からんけど主人公の娘は助かる。
そして悪魔の誘惑に負けて「お前が助かる方を選ぶ」と宣言したもう片方の白人一家の娘は亡くなってしまいます。
これがタイトル通り「信じる者は救われる」ってことなのか…??
娘を大事に思う気持ちは一緒のはずなのに 2人のうち1人だけが助かるってとてもハッピーエンドとは思えず、地獄に堕とされたキャサリンちゃんがひたすら可哀想でした。
これならいっそ「自分達だけよければいい」と2家族が罵り合いまくる地獄絵図を描いて、悪魔勝利の超絶バッドエンドにしてくれたらそれはそれで胸糞映画としてありかなと思ったけど、無理矢理全て美談のように語られるのがキツい。
ラストに刑事さんが「辛いことも人は乗り越えられる」とか言ってたけど、子供を亡くした人に掛ける言葉じゃないよ…と唖然となりました。
悪魔とのやり取りにドキドキハラハラが皆無だったのも残念で、唯一中絶した看護師さんのエピソードが印象に残りましたが、本人がまた普通に悪魔祓いを再開するのでドラマ性が一切ない。
「悔いているけど私は看護師としてたくさんの人に出会えた」とかそういう台詞があるならまだしも…
壊れていく我が子をみて家族が疲弊する描写も圧倒的に欠けていて、娘が酷いことになってるのに、仏頂面で腕組んでる主人公に違和感しかない。
オリジナルのエレン・バースティンのあの変わりよう、家にいる者全てが擦り切れていく感じ、そういう冷徹さ、怖さがまったくなかったなーと。(比べないでみると言いつつめっちゃ比べてますね)
申し訳程度に登場した神父さんが全く頼りにならない人で、ポッと出てきたと思ったら「できません」と居なくなって、また出てきて…の流れには笑いました。
褒めるとこどこにあるんやろ…と気になって、鑑賞後にパンフレットを買ってみましたが…
高橋ヨシキさんの解説が載っていたけれど、作品については絶妙に褒めてないような(笑)。
監督インタビューやキャストプロフィールなど内容はしっかりしていてパンフとしては〇でした。
3部作の予定らしく「エアベンダー」かよっ!!ってびっくり(笑)。
「ゴーストワールド」か「鬼太郎」にすればよかったよおお…と絶叫しながら劇場をあとにしてきました。