どうながの映画読書ブログ

~自由気ままに好きなものを語る~

「ゾンビ3」…知能派ゾンビとマザコン息子マイケル

日本では「ゾンビ3」というタイトルになっているもののロメロの「ゾンビ」とはもちろん無関係、原題が「Zombi3」である「サンゲリア2」とも全く関係のない作品。

81年公開、監督はアンドレア・ビアンキというイタリア人でこの時期につくられたマカロニ・ホラーの中では評判の1作!?のようです。

ゾンビ3 -HDリマスター版- [Blu-ray]

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  • マリアンジェラ・ジョルダーノ
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ドワーフのような長い髭を生やした考古学者のエアズ教授はエトルリア文明の研究者。
地下墓地を発掘中に太古の呪いが解かれ死者が蘇ってしまいます。

そんなことは露知らず墓地近くの屋敷にてバカンスを過ごそうとやって来たカップルたちは死者の群れに襲われてしまいます…

 

舞台がずっと家から移動しないスケールの小さいゾンビ映画ですが、枢機卿の別荘だったというロケ地の古城はゴシックホラーに出てくる幽霊屋敷のようで雰囲気たっぷり。

登場人物はカップル3組+使用人2人+子供1人という構成で、唐突に挟まるカップルのエロシーン。

セールスのためなら何でも撮ったる!!という強い意気込みを感じます(笑)。

しかし登場人物の中で最も強烈な印象を残すのはマザコン息子のマイケル。

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子役が使えなかったため低身長の25歳の男性に12歳の子供役を演じてもらったらしく、結果「エスター」的な異様な雰囲気が醸し出されることに…

ゾンビが館に入ってきても「ママ!ママ!」と叫びながら母親にベタベタ。親子とは思えない親密なキスと愛撫を披露…

一体何の映画をみてるんだ!?ゾンビそっちのけでハラハラさせられます。

 

ゾンビものとしても見所はあり、本作のゾンビは土成分多めのパサパサしたやつで「サンゲリア」のゾンビに似た風貌。

サンゲリア」ではスペインのコンキスタドールが蘇ってきて400年位前にしては死体新鮮すぎない??と思ったけど、こちらは紀元前の遺体なので保存状態いいどころの話じゃありません(笑)。

うじ虫が顔に付いたゾンビが土の中からゆーっくりと起き上がってくるシーンは「サンゲリア」のミミズゾンビ登場シーンにそっくり。

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その他にもフルチの目玉潰しを完全にトレースしたような場面が登場したり、目のクローズアップがあったり、「地獄の門」を想起させる工具で頭部破壊(やりそうでやらない)のシーンが出てきたりします。

 

本作の特殊効果担当はジノ・デ・ロッシ

サンゲリア」と同じ人だからセルフパロディみたいに同じようなのつくったのかな…と思いきや「サンゲリア」を手掛けたジャンネット・デ・ロッシとは別人。
(ややこしい…さらにジノ・デ・ロッシは「地獄の門」の特殊効果担当で「サンゲリア」にもクレジットはされてないが参加はしていたようだ)

ゾンビの造形も含め損傷した皮膚から血肉がただれる様子など「サンゲリア」の方がつくりが圧倒的に丁寧ですが、本作も食事シーンのグロ描写などよく出来ています。

歩く速度こそゆっくりなものの、動作がキビキビとしていて物悲しさが全くないのがこちらの特徴。

道具を持って皆で協力してドアを破壊するなどビックリの知能派です。

暗殺者の如くゾンビが短剣を投げつけ鎌を持って女性の首を刈りとるなどゾンビ映画らしくない珍妙な光景が続出。

逃げ込んだ僧院にて修道服を着て化けたゾンビたちに襲われるシーンは「どんだけ頭いいんだよ!」と不条理感が極まっていました。

 

アクションシーンで主にかかるシンセサイザをきかせた曲は過剰すぎてチープ、役者さんはキャリアのない人が多かったようで、1番若いカップル組の演技は棒を越えて酷い。

全体的にC級な中、マザコン親子だけが高い演技力で他を圧倒します。

ラスト、12歳の息子に母乳を与えようと乳を差し出す母親。しかしゾンビ化したマイケルは母の乳房を嚙み千切る…

なんの変態プレイみせられてるんや…

 

昨年フルチ祭りをしたときに関連作として発見、意外にAmazonのレビュー数が多く嬉々と語られている方ばかりでこれは観ねばと思い鑑賞したのですが、好きな人間(変態)には刺さる映画。

昨年みた「サンゲリア2」の方がロメロの引用が多く「ゾンビ3」のタイトルがしっくり来て、こちらの「ゾンビ3」の方がフルチのトレースが多く「サンゲリア2」っぽいですね。(ややこしい)

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サンゲリア」好きなら必見の作品、みれてよかったです。

 

「SFソードキル」…哀しき異世界転生、藤岡弘、のラストサムライ

パペットマスター」やスチュアート・ゴードン監督作など80年代にB級映画を制作していたエンパイア・ピクチャーズ。

初期にはなんと藤岡弘、を主演に迎えた作品をリリース。

氷漬けになっていた400年前のサムライが現代アメリカに蘇る…!!

荒唐無稽なストーリーですが、藤岡弘、さんがトンチンカンなサムライ像を排除すべく制作陣と内容を詰めたそうで、意外にシリアスなトーンの作品になっています。

 

どうみても日本じゃない雪景色で始まるオープニング。

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1552年、真壁一族の武士・多賀義光は敵の騙し討ちに遭って妻を殺され自身も重傷を負って凍った川に転落してしまいます。

その400年後スキー客が氷漬けの遺体となった義光を発見。

なぜなのかサッパリ分かりませんが遺体はアメリカの「低温外科医療研究所」に届けられ蘇生実験に使われることに。

タイムスリップなどファンタジックな時間移動じゃなくしっかり科学が入って来るのが意外。

けど死体あっためて心臓手術して呼吸器つけたら蘇っちゃうハーバート・ウェストもびっくりの謎技術があらわれます(笑)。

生き返った義光ですがなんせ400年も経ってて文明変わりすぎ、その上日本語を話せるスタッフが皆無で誰も何も説明してくれません。

とんでもない二重苦に遭いつつも刀と着物を取り戻すと現代のロサンゼルスの街に飛び出します…

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おかしなニンジャや芸者が出てくる80年代〜90年代のハリウッド映画よろしく、珍妙なサムライが現代生活をエンジョイするコメディ作品になっていればそれはそれで面白かったのではないかと思うのですが、意外に描写がリアル。

寿司バーでようやく出会った日本人からは「頭がおかしい」「方言がキツくて何言ってるのか分からん」と無下にされてしまいます。

唯一心を通わせることが出来たのは退役軍人のおっちゃんと日本語は喋れないけど異文化に興味津々のジャーナリストの女性。

言葉は通じなくても善意と敬意はしっかり受けとめる義光。

しかしチンピラとのトラブルを契機に警察に追われなんと射殺されてしまいます…

 

文化も言葉もまるっきり違う土地にいきなり転生させられたらこうなるしかないんじゃないだろうか…リアルに感じられる暗い結末で、1人異質な存在として浮いてしまっているサムライの姿が何ともいえず寂しいです。

ド派手なアクションシーンが沢山あるわけではないけれど、鋭い眼光に真剣を使っての殺陣をみせてくれる藤岡弘、の迫力は満点。

髪を自ら整えるところ、銃をものともせず向かっていく狂気を宿したような死を恐れない姿などホンモノ感に満ちています。

たまに昔の回想がフラッシュバックするのも印象的で、冒頭と同じく川に転落して終わるエンディングが見事。

せっかく蘇ってもどこにも居場所がなかった…寂寞感漂うと同時に死が延々ループするような摩訶不思議さも湛えていてSFファンタジーの趣もしっかり感じさせます。

ところどころ登場する日本人の話す日本語が「キルビル」も真っ青な片言でそこは笑ってしまいますが、和太鼓や尺八が入ったようなリチャード・バンドの音楽は見事にハマっていて和の雰囲気が出ています。

アメリカからみると中国も東南アジアも日本も皆一緒くたのイメージだったらしく、藤岡弘さんは日本の侍像を伝えるのに苦心したそう。
藤岡弘、の熱意とそれを真摯に汲み取ってくれた制作陣の誠実さが伝わってくる。

B級かと思いきや意外に暗さを湛えた作品、でもそこが良いです。

 

「サイレント・ランニング」…ロボットに涙する70年代ニューシネマSF

2001年宇宙の旅」などの特撮を手掛けていたダグラス・トランブルが先日亡くなられたとのこと。

タイトルはよく聞くものの未見だった監督作「サイレント・ランニング」を観てみました。

地球が汚染され僅かに残された木々や緑が宇宙船に詰め込まれて育てられている未来。

植物学者・ローウェルは甲斐甲斐しくドームで動植物の世話をしてしましたが、他の3人のクルーは自然を邪険に扱いローウェルのことは変人扱い。

そんな中政府からドームを爆破して地球に帰還するように命令が出ます。

緑を愛するローウェルは激怒し他のクルーを手にかけて1人宇宙空間を彷徨うことに…

エコロジーを訴えた70年代らしい内省的な内容ですが、エコを訴える主人公が人を殺すという結構ショッキングなストーリー。

いざ1人になると仲間といた日々を心に思い浮かべるローウェル。

仲間といたときは理解しあえず孤独、1人になっては寂しさが湧き上がり結局孤独…人間身勝手でどうしようもないなー、何とも切ない気持ちが込み上げます。

主人公ローウェルを演じるのはブルース・ダーン

ベトナム帰還兵を演じていた「ブラックサンデー」も印象的でしたが、元々壊れやすい繊細な人が1人きりになっていよいよヤバい感じになっていく…今作も少し狂気がかった役がハマってました。

そんなローウェルと行動を共にするようになるのが3体のロボット、デューイ、ヒューイ、ルーイ。

R2-D2の原型らしい短足のヨチヨチ歩きがとっても可愛いドローン。彼らと船を再建しつつ新たな生活を始めようとします。

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一緒にお喋りできるわけじゃないけど、ちょっとした仕草から心が伝わってくるようで小さな子供のような何とも言えない愛らしさ。

けれどルーイは任務中に体を吹き飛ばされ、ヒューイも事故に遭ってしまいます。

やがて政府の船がバリー・ホージェ号を発見、ローウェルは人間社会に戻るのかそれとも緑と共に生きる道を選ぶのか…

ラストに主人公がとる行動は釈然としない気もしますが、どこにも帰る場所がない孤独感…「バニシング・ポイント」や「ディアハンター」などジャンルは違うけど本作もベトナム戦争末期のアメリカンニューシネマ特有のものが色濃く出ているように思われました。

最後に1人残ったデューイが主人公の意志を継いで緑を守る姿にはじーん。(壊れかけでもヒューイも一緒に残したって、って思ったけど)

自然にとっては人間はいない方がいいと捉えると物悲しいながらもラストはハッピーエンドなのかもしれません。

植物学者の主人公が太陽光の存在を忘れていたり話や設定はツッコミどころ満載でしたが、ビジュアル面がとにかく魅力的。ガラスのような形状のドームが付属した宇宙船のデザインは「マクロスF」のコロニー思い出しました。

ラスト暗闇に照らされたドームがなんとも美しく清涼感あるフォークソングとともに余韻が残ります。

全然別ジャンルですが最近楳図かずおの「わたしは真悟」を読み直したのもあって、健気なロボットが人間の思いを引き継いで何かを残す姿にうるっとなりました。

 

実写映画「嘘喰い」観てきました

大好きな漫画なのでどんな出来栄えでも受け止めると覚悟の上観てきました。

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原作勢にとっては驚きの連続、知らんキャラがバンバン出てくる、激すぎる場面転換、予想の遥か上いくキャラ崩壊…と119分レールの見えないジェットコースターに乗せられたようで全く退屈しませんでした。

横浜流星の貘さんはハマり役でキャスティングは総じて85点位あるのに脚本が軽くマイナス100点叩きだしてるという非常に残念な出来栄えではありました。

しかし公開前には「監督が貘さんにハーモニカ吹かせようとしたのを横浜流星が断固拒否した」……という不穏すぎるニュースが流れ、期待値が最低のラインまで沈み込んだためか思った以上に楽しんで観ることができました。

↓↓以下原作の内容にも触れつつネタバレでブツブツ語ってます

 

スタートが屋形越えの回想シーンなことにまずびっくり。

漫画だと凡人(にみえる)梶ちゃん目線で貘さんの謎めいたカリスマ性が描かれ読者も一緒に惹かれていく…という流れがスムーズなのですが、いきなり貘さんの負けシーンから始まってしかも普通に「負けたー」って感じのリアクションで小物に見えてしまうような出だし。

「夜空を横切る飛行物が来るか」という賭けも漫画だと並々ならぬスケールの大きさが感じられてカッコいいのですが、貘さんの手配した飛行機(一機かよ)の協力者を射殺する賭郎の人にポカーン。

そして映る空港の欠航の文字版…

ゆとりにも分かるようにめっちゃ丁寧に作ってくれてるんかな…

その後もキャラの名前がテロップでドン!ドン!と出てくる、倶楽部「賭郎」とは…スターウォーズのOPばりに文字だらけの解説が入る…久々にみる最近の邦画のザ・説明な演出について行けずビビりました。

 

内容は2時間に収めるなら廃ビル編+ババ抜きかなと予想してましたが、あれ??舞台が廃ビルじゃなくて森??

遮蔽物のない開けた場所で飛んでくる弾丸を避ける貘さんと梶ちゃん。虚弱設定はいずこに梶ちゃんの前を走ってく貘さん。

梶ちゃんが貘さんに「付いていけない」と怒って別れる場面も予想だにしない衝撃の展開でしたが、平気で爆弾つけられちゃうしハングマンの首吊りもなぜかセットで処刑だっていうし、梶ちゃんの扱い中々酷かったです。

その後1人になりホテルに女性連れ込んで豪遊する梶ちゃん…「なんか違うんだよなあ」…それはこっちの台詞だよ(笑)。

梶ちゃんはそんな子じゃないのよ、毒親育ちのサバイバーで自己肯定感の低さゆえに憧れの貘さんに認められたくて何でもやっちゃうちょっとアブない子なのよ…

役者さんは雰囲気合っててよかったのに不要な描写がかなり多かったように思われました。

 

そして予想はしてたものの完全に別キャラだったのは蘭子。

貘さんのことが好きなツンデレ女子…なんで女性キャラ=恋愛にしちゃうのかねえ…

エンドロールで確認したら今回の映画には乃木坂46の会社が製作委員会に入っていました(察し)。

邦画業界、ホンマそういうとこやぞ!!

もう白石さんはミスキャスト以前の問題で名前変えたオリキャラにしてくれた方がよかったんじゃないかと思いました。

蘭子のキャラで行くなら年齢度外視で高島礼子とか若村麻由美とかその位迫力ある人呼べなかったですかね…

貘さんと梶ちゃんとマルコとまいやんの4人でご飯食べるシーンは「一体何をみせられてるんだ?」ってなって笑ってしまいました。

 


さらに…何よりも1番衝撃だったのは佐田国の盲目設定の描き方。

サングラスに目に包帯…あれ??あたまから盲目キャラとして登場してる??

「盲目だと予想だにしなかったのに実は…」というあのどんでん返し、原作最高の名シーンをぶっ潰す狂気の沙汰。

漫画では佐田国と目蒲が蜜月状態で同じ場所で同じゲームをして荒稼ぎしてた…って話になってたからこそ成立してたトリックも、その前のシーンで色んな場所でポーカーとかやってて「これはどうやって視覚再建してたんや??」…ってなりました。

何より貘さんが試行錯誤しながら相手の嘘を見抜きそれを利用して策を講じる…ババ抜きの、「嘘喰い」の1番面白いポイントがすっぽり抜け落ちててなんじゃこりゃーでした。

 

しかし脚本がこんなメタメタでも横浜流星の貘さんはとても良かったです。

特殊なカラーの髪でもキマっててあの服着こなせるのが凄い。漫画より捉えどころのない感じは薄めだったように思いましたが、原作のイメージを損なわないカッコいい貘さんになってました。

見せ方こそめちゃくちゃだったものの佐田国役の三浦翔平も迫力があって予想を上回る好演。

2人がババ抜きしてる画はバッチリ決まってて、だからこそ「何でこんな脚本と演出なんや…」と残念でたまらない…

佐田国の後ろに付いてたオリキャラの女性の存在もいただけず何の必要性があったのか理解不能、佐田メカに女は不要です…!!(腐女子脳)

今回1番割りを喰らってたキャラが目蒲で何を考えてるか分からない奴になっちゃってて、マッドサイエンティストのくだり丸々いらんかったから「私は何でも出来た…」のとこ入れて欲しかったな…

「死を恐れない」って言ってた2人が最後に無様な醜態さらすのがよかったのにそこも残念です。

目蒲含め立会人の皆さんのビジュアルは総じて悪くなく、夜行さん、自分はもうちょい静かなイメージで怖さが足りないと思いましたが、安心感のあるカッコいいおじ様でこれはこれでアリでした。

立会人が集まってる場面がなぜかホログラムのシーンにも笑ってしまいましたが、亜面さんと判事、すぐ分かるビジュアルで嬉しかったです。

門倉さんやちゃんみだを出さないのは続編のお楽しみってことかな、ちゃんと考えてくれてるんかな…って思ったら最後ハンカチ落としまで飛ばしちゃう…なんでやねん!!ってなって終わりました(笑)。

 

せっかくこれだけいいキャストを集められたのに脚本もうちょいどうにかならんかったんかい、って内容でしたが、なぜかもう1回観たいと思っている自分がいる(笑)。

何より公式からの供給が圧倒的に不足してた「嘘喰い」が改めて注目される、これだけでもう万々歳です。

漫画の「嘘喰い」、自分はこのババ抜き終わってからの「0円ギャンブル」で心を鷲掴みにされ後ろの巻に行くほど右肩上がりで面白いのが凄いと思ってましたが、今回映画みると漫画の方がいかに序盤から周到に話が組み立てられていたか、その完成度の高さに改めて気付かされます。

原作漫画の素晴らしさを再認識させてくれる点では間違いなく凄い映画、色々文句言ってしまったけどそれも1つの面白みというか、期待した以上に楽しんでみれてよかったです。

 

楳図かずお大美術展に行ってきました

東京シティビューにて1月28日から開催されている楳図かずお大美術展に行ってきました。

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コロナの状況もありどうしようかと迷っていたのですが、先月発売の「芸術新潮」の楳図特集が大変面白く、85歳の楳図先生が4年かけて描いた作品を生で見れる機会なんてこれを逃せば一生ないかも…と考えて行ってきました。

今回の展示では「わたしは真悟」の続編が101枚の絵画として鑑賞できるとのこと、だいぶ前に読んだきりの「真悟」を一応再読してからのぞむことにしました。

展示場は六本木森ビルの52階、「真悟」の舞台の1つでもある東京タワーがバッチリ見える景色で雰囲気抜群!!

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他の分野のアーティストさんが手がけた作品もあり会場に入ると「真悟」をイメージしたアートが飛び込んできました。

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漂流教室」「14歳」を特集したパネルや楳図作品の過去の書籍なども公開されつつメインのZOKU‐SHINGOの鑑賞へ…

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間近でみる絵が本当に凄かったです。

芸術新潮」のインタビューにて楳図先生が、「絵画では1枚ずつどれもがクライマックスになる」と話しておられましたが、1枚ずつじっくり見せられながら話が進んでいくのが何とも不思議な体験、絵だけど漫画や映画をみているような躍動感がありました。

絵は素描してからさらにその素描画を複写しアクリル絵の具で塗ったそうですが、元になった素描画の方も別場所に展示されていました。

「真悟」といえば緻密な書き込みと独特な世界観の美しい扉絵が有名ですが、ZOKU-SHINGOもすごい書き込みで、80代の人が描いたとは思えないビックリする絵ばかり。

ホラーあり、美人画あり、「14歳」を思わせるような人間の欲と破滅を描いたようなところもあり…鑑賞後は間違いなく「楳図作品を読んだ」という気持ちにさせてくれました。

昔は難解な印象しか残らなかった「わたしは真悟」も改めて読むと以前よりずっと面白く感じて、ささやかだけど子供時代ならではの特別な体験って自分にもあったなーって湧き上がってくる寂寞感みたいなのと、豊かさの影で崩壊していく家庭の切なさと、バラバラになっても家族の愛を繋ごうとする子供(真悟)のひたむきさと…感覚的に色んな思いが渦巻く不思議な作品だと思いました。

作中では「…だったといいます。」など高次の存在を思わせるような言い回しが謎めいていましたが、これが今回の作品で伏線回収されるかたちとなっていて、続編を経てより壮大な物語となっていました。

 

美術館横ではコラボカフェも開催されていて「洗礼」の上原さくらソーダをいただきました。

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さくら色の脳みそ…!

他のメニューもパンチが効いていて面白かったです。

グッズもかなり充実していて2度と手に入らなさそうなものばかり、迷いながら選んで購入しました。

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秋には大阪のあべのハルカスで開催が決定しているそうで、どっちも高いところでやるんですね。

すごい大迫力の大美術展でした。

 

邦題が秀逸だと思う映画作品をあげてみる

最近の映画は原題を英語のカタカナ表記にしてそのまま…というパターンが圧倒的に多い気がしますが、一昔前の作品は結構自由でオリジナルな日本語タイトルが付けられていて面白かったりします。

映画ネタあるあるだと思いますが、「この邦題は上手い!」「言葉がカッコよくて印象にのこる!」など秀逸だと思ったタイトルをあげてみたいと思います。


ミクロの決死圏

原題Fantastic Voyageは直訳すると幻想的な旅!?

クロサイズになって突入する人体の中は確かにロマンたっぷり。特撮物を連想させつつSFのクールさとワクワク感も醸し出した邦題が素晴らしいです。

 

さらば冬のかもめ

アメリカン・ニューシネマの名作。

原題はThe Last Detail(最後の部隊)ですが、水兵さん=かもめ とした邦題はかなりのネーミングセンス。

しっかり季節感もイン、見終わったあとに込み上げる切ない気持ちも全て表したかのようなタイトルが秀逸です。

 

◆山猫は眠らない

パート8まで制作、テレ東で年に1回は放送してる気がする大人気アクションシリーズ。

そのまんまな原題:Sniperだとシンプルすぎる??

わずかな仮眠とるのもままならない狙撃手の険しい道のりをしっかり描写、日本で人気が根強いのはこの邦題のカッチョよさもあるのではないでしょうか。

 

男たちの挽歌

中国語タイトル:英雄本色 英語タイトル:A Better Tomorrow、どれもカッコいい。

劇中で流れるオンボーカルの曲も印象的でしたし内容にマッチした感じがするカッコいいタイトル。

ジョン・ウーもプロデューサーのツイ・ハークも邦題を気に入っていたそうですね。

 

◆殺しが静かにやって来る

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  • ジャン=ルイ・トランティニャン
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荒野の…、夕陽の…、…の用心棒…
似たワードが何かと多いマカロニウエスタンの中でも異彩を放つ印象的なタイトル。 

原題はIl grande silenzio/The Great Silence。ろうあ者の凄腕ガンマンの主人公を表しているようですが、無情感漂わせる邦題もカッコいいです。

 

◆ガバリン

ガバリンって何だよ。

原題はHouse、「家」ってホラーもありましたがあっちの原題はまた全然違うんですね。

モンスターハウスものですがコメディ色の強い独特の雰囲気。

ガバリンって言われたらガバリンや!!…ってなる不思議なタイトルです(笑)。

 

暗闇にベルが鳴る

「ハロウィン」「スクリーム」など後続のホラーに影響を与えた傑作。

ホワイトクリスマスに対しての原題 :Black Christmasもカッコいいのですが、宗教的意味合いも含めクリスマスって言葉の重みが日本とは違うのかも…

電話をアイテムにしたサスペンス劇にフォーカスを当てたこの邦題も雰囲気があっていいと思います。

 

◆ 悪魔のサバイバル

サバゲー野郎と連続殺人鬼がバトル…!!

原題:The Zero Boysは主人公のチーム名ですがこれだとボンヤリした印象。

ホラー映画に多い「悪魔の…」のタイトルはやはり「悪魔のいけにえ」が先駆でしょうか。サバゲーを強調しつつホラー好きにしっかりアピールしたタイトルで中々秀逸です。

 

新感染 ファイナル・エクスプレス

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  • コン・ユ,キム・スアン,チョン・ユミ,マ・ドンソク,チェ・ウシク,アン・ソヒ,キム・ウィソン,チョン・ソギョン,チャン・ソクファン,チェ・グィファ,シム・ウンギョン
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新…感…染……し…ん…か…ん…せ…ん……あっ、もしかして新幹線ってことか!!(この間約40秒)

頭鈍すぎるのと話題になっていたのを露知らずで、てっきり「感染」って映画の続編なのかと思ってました(笑)。

原題は부산행(釜山行)。ダジャレ仕様で賛否両論ありそうですが、サブタイのファイナルエクスプレスも疾走感をブーストしたような援護射撃、最近の映画にしては攻めたタイトル!?なかなか好きです。

 

◆セッション 

原題:Whiplash(むち打ち)はジャズの有名曲でもありドラマーの抱えやすい疾患だったり…と複数の意味が込められてるようですね。

こちらも賛否両論ありそうですがラストシーンはセッション!!(滅茶苦茶すぎる)、言葉の響きも言いやすくて邦題はこれが良かったんじゃないかなーと個人的には思いました。

 

◆ぼくの美しい人だから

27歳のエリートサラリーマンと43歳のウェイトレスの恋。

昔のVHSのジャケットはジェームズ・スペイダーが屈んでスーザン・サランドンの靴紐結んでるやつだったと思うのですが、このビジュアルとタイトルだけで胸がキュンキュン。

原題:White Palace はヒロインの働くハンバーガー・ショップの名前ですが、思い切ったロマンチックな邦題、いいですねー。

 

月の輝く夜に

イタリア移民一家が「満月の夜になると恋心が騒ぎ出しちゃう」とか言いながらやりたい放題。

原題:Moonstruckには「気がふれた」って意味があるようですが、日本人には馴染みのない言い回しなのでロマンチックにまとめてくれた上手いタイトルです。

 

星の王子ニューヨークへ行く

原題Coming to America。

アメリカの中でもニューヨーク、そしてあえて下町を訪れる王子一行。

当時のニューヨークの治安の悪さを笑いに変えた場面なども印象的、エディ・マーフィはめちゃくちゃ王子様してるし、語呂のよさも含めてパーフェクトな邦題だと思います。

 

◆大逆転

タイトルがまんまネタバレ!?

原題: Trading Placesも内容そのままですが、子供の頃よくテレビで放映されていてラスト「大逆転だー!!」って盛り上がったので凄くしっくりくるタイトルです。

 

◆フェリスはある朝突然に

学校サボってやりたい放題、とにかく楽しいザ・80年代映画。

原題はまんまFerris Bueller's Day Off(フェリスの休日)ですが、フェリスが突然どうしたのよ??…って興味を惹きつけられる邦題で語呂もなんかいいです。

 

バタリアン

バタリアンって何だよ。

オバタリアンからとったのかと思いきや、むしろこっちが大元だったというから驚き。

原題はロメロリスペクトのThe Return of the Living Dead

オバンバ、ハーゲンタフなどゾンビにオリジナルな名も付けてやりたい放題。何でもいいから売ったれ!の精神があっぱれです。

 

ザ・グリード

こちらもグリードって何だよ…っていうバケモノを勝手にネーミングした邦題。

原題はDeep Rising、これだとありきたりでパッとしないかも。

90分で3000人喰って喰って喰いまくれ!!…の誇大広告とともに配給会社のセンスが炸裂した素晴らしい邦題だと思います。

 

◆96時間

原題はズバリTakenですが、96時間以内に誘拐された娘を救え…!!テンションをアップさせるようなナイスな邦題。

ただ続編とは内容が一致せずチグハグになってしまったようで…思わぬ落とし穴もあるものですね。

 

女神の見えざる手

ロビイストによる白熱の頭脳戦。

女神なんて悠長なもんじゃなく鋼鉄の仕事人でしたが、とにかくジェシカ・チャステインが美しくてカッコいい!!原題Miss Sloaneがパッとしないので邦題の方がキマってるように思いました。

 

善き人のためのソナタ

原題:Das Leben der Anderen(他人の生活)。

東ドイツの秘密警察に所属し監視を行なっていた局員。ある日盗聴先から聞こえるピアノに心を揺さぶられて…

感動ドラマ系はいかにも狙ってます…になるとあざとい感じになってしまいますが、内容も言うことなし、それにマッチした美しい邦題だと思いました。

 

◆手錠のままの脱獄

今年はじめに亡くなったシドニー・ポワチエの代表作の1つ。

脱獄は冒頭から成立してて脱獄というよりむしろ脱走なのかもしれませんが、黒人と白人が手錠で繋がれたま逃亡、内容のインパクトを全面に押し出したタイトルで記憶に残ります。

原題:The Defiant Onesは訳すと抗う者…って感じでしょうか。「網走番外地」の元ネタと言われるだけあって古い作品だけど傑作!

 

◆眼下の敵

原題 The Enemy Below。こちらはほぼ直訳したかたちでしょうか。

駆逐艦vs潜水艦、まさに水面下にいる敵、渋い言葉のチョイスが映画の中身とマッチしてて印象的です。

 

まぼろしの市街戦

全く戦争映画していない、コメディタッチ且つ哲学的な佇まいをみせる不思議反戦映画。

原題はLe Roi de Cœur (ハートの王様)ですが、ラスト一瞬の白兵戦がまるで幻、幻想的な作品の雰囲気を伝えつつインパクトもある邦題です。

 

◆旅情

哀愁、慕情、追想…2文字タイトルのクラシック作品って独特の風情がありますね。

ベニスを訪れた中年女性がイタリア色男といい感じに…でも相手には妻子がいて…と原題:Summertimeがしっくり来るひと夏の恋的な物語。

手を振るキャサリン・ヘップバーンのラストシーンを昔偶然テレビでみて惹きつけられました。今見たら古さを感じる作品かもしれませんが、旅情って言葉の響きのレトロさがいいです。

 

要塞警察

漢字4文字のタイトルは映画でも漫画でも何かカッチョええですね。

原題:Assault on Precinct 13(13分署)はその後リメイクの方に採用されてましたっけ。

引越し前で空っぽな警察署にて善玉悪玉入り混じっての籠城戦…映画の内容をそのまま押し込めたような邦題で思わず何だろう??…と惹きつけられるタイトルです。

 

◆蜘蛛女

江戸川乱歩の小説に蜘蛛男なんてのもありましたが…子供の頃テレビでレナ・オリンが脚丸出しになりながら不敵に笑って逃げるシーンをみて「蜘蛛女、怖っ!!」と脳に刻まれました(笑)。

原題はRomeo is Bleeding、トム・ウエイツの曲名をトレースしたもののようです。

「蜘蛛女」ってタイトルだと真面目な男が妖艶な美女に引っかかって転落ってイメージですが、主人公ジャックは元からかなりダメなやつなんですよね…でもレナ・オリンの女王様なビジュアルと相まってとても印象に残るタイトルでした。

 

◆ゾンバイオ/死霊のしたたり

死霊のしたたり BD [Blu-ray]

ゾンバイオって何だよ。自分が持っていた中古のVHSにはゾンバイオの文字が刻まれていたのですが、Blu-rayからは消えている…

原題はRe-Animator。蘇生者といいつつ結果ゾンビ培養してるだけ(笑)、死霊のしたたりよりもゾンバイオという言葉の響きの良さにやられてしまいます。

 

サンゲリア

サランドラ、サンタリア…全ては「サスペリア」から始まったのか…サ行の5文字が多い気がするこのジャンル。

原題ZOMBIE(国によってはZOMBIE2)はロメロの「ゾンビ」にあやかろうとしたようで大概ですが、日本の配給会社もフリーダムすぎる。

けれど「サンゲリア」と言われると「サンゲリア」としか思えないこちらも素晴らしい言葉の響き…!

 

名作もホラーももっと他に沢山ありそう、そして思ったより近年の作品が入ったリストになりましたが、パッと思いつくのがこんな感じでした。

 

「悪魔のサバイバル」…サバゲー集団vs連続殺人鬼、ファイッ!!

山奥に遊びに出かけた若者たちを血に飢えた殺人鬼が襲う…

ホラーのテンプレみたいな設定しつつ他作と異なる趣向が盛り込まれた80年代異色スラッシャー映画。

パッケージ詐欺というか、意外に殺人も流血も少ないアクションコメディテイストな楽しい1本です。

冒頭からホラーらしからぬ幕開けで、人気のない町で緊迫の銃撃戦を行う男たち…

なんと弾丸はペイント弾でサバイバル・ゲームに興じていただけ、BGMも西部劇ちっくなメロディが流れたりと中々凝った楽しいオープニングです。

ミリタリールックな主人公サイドに対し敵チームの衣装はウエスタン風に古い軍服とバラバラ…サバゲー界隈のことは全く存じ上げませんがこんな統一感なくていいんでしょうか。

ともあれランボーvsナチスドイツ!?という完全にアウトな決闘をみせてくれるのはB級映画にしかできない所業。

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念願の優勝を決めた主人公チーム・ゼロボーイズでしたが、リーダーのスティーブは「ゲームに勝ったら敵主将のガールフレンドを賞品として貸してもらう」という約束をこっそり取り付けていました。ゲスの極みすぎる…

一悶着ありつつ一行にジェイミーが加わり、男3人、女3人のグループとなって人里離れた山奥にツーリング。

そこに嵐が訪れ無人のログハウスで雨宿りすることに…とスラッシャー映画あるあるな展開を辿ります。

他所様のお宅でやりたい放題、モラルに欠けた行動はまさしく「ホラーで処刑されるにふさわしい若者」なのですが、サプライズでお誕生日会始めたり仲良さそうでなぜか憎めない感じの6人(笑)。

ビッチにみえたジェイミーが実は心理学の優等生というのもユニークなキャラクター像で、メンバーの中でもっとも洞察力に長けスタンガンで見事な応戦をみせるなど有能オブ有能なヒロイン。

もう1人の女性キャラ・トリッシュは犯人に襲われる前から元々足にギプスつけてる…と何の意味もない設定が雑すぎて笑ってしまいますが、彼女も足手まといにならず必死について来て一緒に戦う。

女性キャラが悲鳴要員に収まらずサバゲー野郎のメンズの方が頼りなく映ってくるという不思議なメンバー構成であります。

一方殺人鬼サイドの方も単独犯でなく2人がかりで襲ってくるというあまり見ないパターン。

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登場シーンのシルエットは只ならぬ気配がしてカッコいいのですが、6対2な上、ちゃっかり実弾も持ってた銃火器実装のゼロボーイズに対し、殺人鬼の武器は鉈とボウガンのみと圧倒的不利(笑)。

落とし穴や仕掛け縄を用意してるあたりは面白いのですが、どれも決定打に欠けて恐怖感は薄く、もっとジワジワ追い詰めてくるような展開が欲しかったように思われます。

殺人鬼勢はあっさりと顔出しもしますが、特徴のないフツーのおっちゃんでマスクの存在はやはり偉大。

衣装を何かの制服や軍服にするなどもっとキャラを特徴付けるモノがあった方がよかったかも…「殺人鬼は全部で何人いるか分からない」というオチも悪くないのですが、それならば尚更所属するキーアイテムみたいなのを見せた方が引き締まったんじゃないかなーと思いました。

殺人鬼役の1人はマーティン・シーン弟のジョー・エステヴェス。(似てる)
緑いっぱいの沼地を歩く姿をみてると「地獄の黙示録」がよぎるような(笑)…意図的なキャスティングだったとしたらシャレがきいてます。

拷問部屋となっていた納屋では被害者を殺す様を記録したビデオが発見されますが、このシーンはホラー映画らしい不気味さが漂っていました。

スナッフフィルム的なやつの先駆けというか「ホステル」みたいなイヤーな感じがよく出ています。

納屋でメンバーの1人が危うく殺されそうになる場面は「スクリーム」冒頭の殺人シーンによく似ています。

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殺される彼氏の名前もスティーブだったし本作へのオマージュだったのかもしれません。

 

監督はギリシャ出身のニコ・マストラキス。

美術アシスタントとして若き日のフランク・ダラボンが、音楽にはハンス・ジマーが参加しているから驚き。

マーチっぽいビートをはらんだオープニング曲がスタンリー・マイヤーズ担当で劇中アクションシーンで掛かってるスコアがジマー担当かな??
シンセサイザ響かせたノリノリの音は疾走感爆上げでめちゃくちゃいい仕事してます。

もーちょい殺人鬼側のパワーを強くして、罠ももっとヤラしいやつにして恐怖度上げれば傑作ホラーになったんじゃないかな…色々惜しく思われますが、仲間もあまり死なず流血もほぼなし、スラッシャーらしからぬ独特の陽気さが本作の魅力なのかも。

なんか元気の出るご機嫌なホラーなのでした。