大好きな漫画なのでどんな出来栄えでも受け止めると覚悟の上観てきました。
原作勢にとっては驚きの連続、知らんキャラがバンバン出てくる、激すぎる場面転換、予想の遥か上いくキャラ崩壊…と119分レールの見えないジェットコースターに乗せられたようで全く退屈しませんでした。
横浜流星の貘さんはハマり役でキャスティングは総じて85点位あるのに脚本が軽くマイナス100点叩きだしてるという非常に残念な出来栄えではありました。
しかし公開前には「監督が貘さんにハーモニカ吹かせようとしたのを横浜流星が断固拒否した」……という不穏すぎるニュースが流れ、期待値が最低のラインまで沈み込んだためか思った以上に楽しんで観ることができました。
↓↓以下原作の内容にも触れつつネタバレでブツブツ語ってます
スタートが屋形越えの回想シーンなことにまずびっくり。
漫画だと凡人(にみえる)梶ちゃん目線で貘さんの謎めいたカリスマ性が描かれ読者も一緒に惹かれていく…という流れがスムーズなのですが、いきなり貘さんの負けシーンから始まってしかも普通に「負けたー」って感じのリアクションで小物に見えてしまうような出だし。
「夜空を横切る飛行物が来るか」という賭けも漫画だと並々ならぬスケールの大きさが感じられてカッコいいのですが、貘さんの手配した飛行機(一機かよ)の協力者を射殺する賭郎の人にポカーン。
そして映る空港の欠航の文字版…
ゆとりにも分かるようにめっちゃ丁寧に作ってくれてるんかな…
その後もキャラの名前がテロップでドン!ドン!と出てくる、倶楽部「賭郎」とは…スターウォーズのOPばりに文字だらけの解説が入る…久々にみる最近の邦画のザ・説明な演出について行けずビビりました。
内容は2時間に収めるなら廃ビル編+ババ抜きかなと予想してましたが、あれ??舞台が廃ビルじゃなくて森??
遮蔽物のない開けた場所で飛んでくる弾丸を避ける貘さんと梶ちゃん。虚弱設定はいずこに梶ちゃんの前を走ってく貘さん。
梶ちゃんが貘さんに「付いていけない」と怒って別れる場面も予想だにしない衝撃の展開でしたが、平気で爆弾つけられちゃうしハングマンの首吊りもなぜかセットで処刑だっていうし、梶ちゃんの扱い中々酷かったです。
その後1人になりホテルに女性連れ込んで豪遊する梶ちゃん…「なんか違うんだよなあ」…それはこっちの台詞だよ(笑)。
梶ちゃんはそんな子じゃないのよ、毒親育ちのサバイバーで自己肯定感の低さゆえに憧れの貘さんに認められたくて何でもやっちゃうちょっとアブない子なのよ…
役者さんは雰囲気合っててよかったのに不要な描写がかなり多かったように思われました。
そして予想はしてたものの完全に別キャラだったのは蘭子。
貘さんのことが好きなツンデレ女子…なんで女性キャラ=恋愛にしちゃうのかねえ…
エンドロールで確認したら今回の映画には乃木坂46の会社が製作委員会に入っていました(察し)。
邦画業界、ホンマそういうとこやぞ!!
もう白石さんはミスキャスト以前の問題で名前変えたオリキャラにしてくれた方がよかったんじゃないかと思いました。
蘭子のキャラで行くなら年齢度外視で高島礼子とか若村麻由美とかその位迫力ある人呼べなかったですかね…
貘さんと梶ちゃんとマルコとまいやんの4人でご飯食べるシーンは「一体何をみせられてるんだ?」ってなって笑ってしまいました。
さらに…何よりも1番衝撃だったのは佐田国の盲目設定の描き方。
サングラスに目に包帯…あれ??あたまから盲目キャラとして登場してる??
「盲目だと予想だにしなかったのに実は…」というあのどんでん返し、原作最高の名シーンをぶっ潰す狂気の沙汰。
漫画では佐田国と目蒲が蜜月状態で同じ場所で同じゲームをして荒稼ぎしてた…って話になってたからこそ成立してたトリックも、その前のシーンで色んな場所でポーカーとかやってて「これはどうやって視覚再建してたんや??」…ってなりました。
何より貘さんが試行錯誤しながら相手の嘘を見抜きそれを利用して策を講じる…ババ抜きの、「嘘喰い」の1番面白いポイントがすっぽり抜け落ちててなんじゃこりゃーでした。
しかし脚本がこんなメタメタでも横浜流星の貘さんはとても良かったです。
特殊なカラーの髪でもキマっててあの服着こなせるのが凄い。漫画より捉えどころのない感じは薄めだったように思いましたが、原作のイメージを損なわないカッコいい貘さんになってました。
見せ方こそめちゃくちゃだったものの佐田国役の三浦翔平も迫力があって予想を上回る好演。
2人がババ抜きしてる画はバッチリ決まってて、だからこそ「何でこんな脚本と演出なんや…」と残念でたまらない…
佐田国の後ろに付いてたオリキャラの女性の存在もいただけず何の必要性があったのか理解不能、佐田メカに女は不要です…!!(腐女子脳)
今回1番割りを喰らってたキャラが目蒲で何を考えてるか分からない奴になっちゃってて、マッドサイエンティストのくだり丸々いらんかったから「私は何でも出来た…」のとこ入れて欲しかったな…
「死を恐れない」って言ってた2人が最後に無様な醜態さらすのがよかったのにそこも残念です。
目蒲含め立会人の皆さんのビジュアルは総じて悪くなく、夜行さん、自分はもうちょい静かなイメージで怖さが足りないと思いましたが、安心感のあるカッコいいおじ様でこれはこれでアリでした。
立会人が集まってる場面がなぜかホログラムのシーンにも笑ってしまいましたが、亜面さんと判事、すぐ分かるビジュアルで嬉しかったです。
門倉さんやちゃんみだを出さないのは続編のお楽しみってことかな、ちゃんと考えてくれてるんかな…って思ったら最後ハンカチ落としまで飛ばしちゃう…なんでやねん!!ってなって終わりました(笑)。
せっかくこれだけいいキャストを集められたのに脚本もうちょいどうにかならんかったんかい、って内容でしたが、なぜかもう1回観たいと思っている自分がいる(笑)。
何より公式からの供給が圧倒的に不足してた「嘘喰い」が改めて注目される、これだけでもう万々歳です。
漫画の「嘘喰い」、自分はこのババ抜き終わってからの「0円ギャンブル」で心を鷲掴みにされ後ろの巻に行くほど右肩上がりで面白いのが凄いと思ってましたが、今回映画みると漫画の方がいかに序盤から周到に話が組み立てられていたか、その完成度の高さに改めて気付かされます。
原作漫画の素晴らしさを再認識させてくれる点では間違いなく凄い映画、色々文句言ってしまったけどそれも1つの面白みというか、期待した以上に楽しんでみれてよかったです。