ガンマンの早撃ち決闘トーナメントというまるで天下一武道会なワクワクのストーリーが展開する、サム・ライミ監督の西部劇。
マカロニ・ウエスタンっぽい雰囲気もありつつ、ライミの漫画ちっくな映像が炸裂していて実に楽しい作品。
今振り返ると何とも豪華なキャスティングで驚いてしまうのですが…
主人公はシャロン・ストーン演じる女ガンマン。
当時はセクシー女優路線を払拭しようと必死だったのでしょうか…こんなギラギラした美人は今ではあまり見かけず好きな女優さんですが、それにしても時代劇が似合わない美貌(笑)。
クールなアウトローキャラならよかったのに、止めをさせず躊躇う、過去のトラウマに泣く…と結構エモーショナルなヒロインで、主役だけちょっと浮いてる感じもしなくないですね…。
敵役は圧巻の演技力で魅せるジーン・ハックマン。
街の支配者で極悪非道の凄腕ガンマン。強欲で執着心が強く、誰も信じない。老齢でも立ち姿がサマになっていて格好いいです。
レオナルド・ディカプリオ演じる息子、キッドとの親子対決が見ものですが…
軽いお調子者キャラかと思いきや父親に認められたいという願いは切実に伝わってくる、散り際の姿も見事、とディカプリオ昔から演技上手いー!!
もう1人の注目株、牧師の凄腕ガンマン、コートを演じるのは当時無名だったラッセル・クロウ。
若いのに渋みがあって存在感たっぷり、うっとりするイケボ。
敵役のジーン・ハックマンは実は元師匠というところもマカロニっぽくて盛り上がります。
子供の頃みたVHSではシャロン姐さんとラッセルのキスシーン(ラブシーン?)があった気がするのですが、DVDには収録されておらず…。
でも恋愛絡めない共闘関係、これはこれでアリだと思います。
これだけでも豪華キャストですが、その他のモブキャラも味のある人たちばかりで目移りしてしまいます。
冒頭からシャロン姐さんのやられ役になる金歯ビッシリの男は印象に残る面構えですが、なんとのちに「ソウ」シリーズで殺人鬼と化すトビン・ベル。
トランプを撃ち抜くというカード芸をみせるエース・ハンロン(ランス・ヘンリクセン)もカッコいい。
ほんと、漫画に出てきそうなキャラデザで、意外に西部劇も似合うお顔。
決闘シーンが印象に残るのは黒人ガンマン・クレイ(キース・デヴィッド)。実はジーン・ハックマンに恨みを抱く街の人たちから雇われた殺し屋だったけど返り討ちに…という筋書きは「殺しが静かにやって来る」っぽい!?
個性的な面立ちの役者さんたちの顔のアップも含め、随所にレオーネっぽい雰囲気を感じる作品ですが、なんといっても主人公エレンの回想シーン…保安官のお父さんが吊るされての処刑シーンは「ウエスタン」にそっくり!!
こっちを先に観てしまったけど、すごく印象にのこる名場面でした。
ライミ監督ならではのスプラッタな遊び心、撃ち抜いた頭に大きな穴が開いて向こうの景色が見えちゃうぜ!!…のショットはふふっと笑ってしまいますが、漫画そのものでみていて楽しいです。
撃ち合いの直前で各人物の顔のどアップが映り緊張を高める演出は「続夕陽」っぽいでしょうか…細かいカットの連続でずんずんとズームアップしていくの、やり過ぎ感がオモロイですね。
そもそも「時計の長針が12時を指したら撃ち合う」っていうシチュエーション、この景色がアニメ的でたまりません。
ラスト、復讐をやり遂げて賞金を受け取らず1人去っていくシャロン姐さんはモーティマー大佐のよう…。
何も知らずにみてもすごく面白かったけど、レオーネリスペクトな作品なのかと思うと余計に楽しめる作品になっていました。