どうながの映画読書ブログ

~自由気ままに好きなものを語る~

「デビルズ・ゾーン」…悪夢のマネキン館、怖いけど切ないスローソンさん

78年公開、チャールズ・バンド製作、「クロール・スペース」のデヴィッド・シュモーラーの初監督作。

悪魔のいけにえ」的世界観に、人形ホラーと超能力要素も加味された盛り盛りの内容。

サイコな中年親父を演じるチャック・コナーズが素晴らしく、見応えのある作品になっていました。

田舎でドライブ旅行をしていた男女5人組。

車の故障で立ち往生してしまい、かつての観光地の看板に導かれ見知らぬ土地に足を踏み入れます。

開始早々襲われるのは給油所に立ち寄った男性メンバーのウッディ。

いきなりマネキンだらけの部屋に閉じ込められ、物がポンポン飛んできて鉄パイプが刺さって死亡。

全く意味が分からなくて冒頭から理不尽極まってます(笑)。

 

残るメンバーも追ってやって来ますが、女性陣3人は近くで見つけた川で沐浴を開始(絶妙に身体が映らない)。

振り返るとそこには地元住民だという中年男・スローソンが…

車を修理する間自分の経営するマネキン館で休んでいくといいと声をかけてきます。

かつて観光で賑わっていたこの土地はハイウェイが出来て以来すっかり廃れ、妻に先立たれたスローソンは1人で暮らしているのだそう。

マネキン人形たちは今は離れたところで暮らしている弟が昔つくったものなのだと言います。

しかし不審に思って偵察に出た仲間が1人ずつ、謎のマスクを付けた怪人に襲われていきます…

 

犯人は予想もへったくれもありませんが、変わり者だけど一見悪い人にはみえないスローソンさん。

架空の弟が脳内にいる二重人格設定かと思いきや「妻と弟が浮気してて2人とも殺した」…

地元衰退で観光ホテルをつくる夢が潰えただけでなく身内に裏切られたなんて、あまりの孤独に精神を病んでしまったのかも。

マネキンに囲まれて暮らしているのはそれでも人恋しいから…寂れた街からも忘れ去られた中年男の哀愁が漂っていて、元野球選手で身長198センチだというチャック・コナーズの独特の風貌も相まって、狂気を感じさせるキャラクターになっていました。

 

案の定殺した人間をマネキンにしていたスローソンさん、登場人物のうち1人は石膏を顔に塗られて死亡します。

「これから顔が熱くなって呼吸が出来なくなって死ぬよ」とネチネチ説明するのがドS。

全体的に殺人シーンは流血控えめで「念動力で物を飛ばして殺す」等なのでグロさには欠けていますが、マネキンがとにかく不気味。

目だけがギョロッと動いたり、腹話術の人形のように口だけガバッと開いて「あー」と声を出したり異様な雰囲気を盛り上げています。

館で追いかけっこになってマネキンのふりをしてやり過ごす場面も印象的で、兄弟設定といい「蝋人形の館」(2005)はかなり本作にインスパイアされていそうです。

 

若者勢は地味ながら静かに健闘する男性メンバーのジェリー、チューブトップが眩しいベッキータニア・ロバーツ)らが活躍しつつ、1番控えめで地味な印象のモリーが最終的に主人公格に。

「妻に似ている」と言われてスローソンさんに迫られるけど、全然似てない(笑)。

おさげ髪に露出の少ない白いワンピース、1人だけ”時代遅れ”の彼女の何かがスローソンさんのハートを射止めたのかもしれません。

クライマックス、助けに来たと思った仲間の腕がポキーンと折られマネキン化されていたことが発覚する場面はシュールで絶望感たっぷりの名シーン。

話の設定がぼんやりしていたり、マネキン化した仲間が誰が誰か分かりにくくて恐怖ポイントになり損なっていたり…とっ散らかってる印象はありますが、次々に不条理なことばかり起こる逃れられない悪夢のような恐怖がひしひしと感じられました。

 

画面がフリーズするラスト。

殺人鬼は倒したけどマネキン化した仲間を後生大事に(生きている人間と同じであるかのように)連れて帰るヒロイン。

主人公も悪夢の世界の住人になったようなバッドエンドで余韻が残りました。

 

【追記】

23年6月、超豪華仕様の特別版Blu-rayが発売され限定でフィギュアが付いていました。

足下にはマスクまで…素朴な感じで一見そんなに悪い人にみえないスローソンさんの雰囲気が伝わってくるようです。

大事に飾りたいと思います。