公開当時あまり評判がよくなかった気がしますが、自分が観たトム・クルーズの作品の中でこれが1番好きかも。
観ると元気が出る作品で何度か繰り返し観ています。
歳の離れた妹の世話をずっとしてきて自分のやりたいことは先送り、異国の地を夢見るも地元に残って暮らしてきた30半ばの女性。
ある日突然事件に巻き込まれて謎のイケメンとともに世界を駆け回る…!!
女性向けなろう小説!?みたいな薄いプロット、だがそれがいい(笑)。
こういうスター映画って本人のイメージを幾らか引きずるものかと思いますが、マット・ディロンと破局後、ジャレッド・レト、年下イケメンのジャスティン・ティンバーレイクと付き合うも破局。(←ゴシップ記事の読みすぎかっ!!)
「人生真面目に生きてきたけど割を喰らってチャンスを逃してきた人」の役がハマっていて、一見薄いようで人生の奥行きみたいなものがしっかり感じられるヒロインのキャラクター像が魅力的でした。
対するトム・クルーズはMIシリーズをセルフパロディしたようなキャラクター。
人間臭さがないのがこの人の人間味!?
異常なストイックさで人間離れしたスキルがあるけどどっかズレててちょっと気持ち悪い(失礼!)。
こちらもご本人のイメージと結びついて上手くハマっていました。
2010年当時トム・クルーズは48歳、キャメロン・ディアスは38歳。
2人とも20代の頃の美貌は輝くばかり、美しさが評価される世界で年取ってくのって尋常じゃなくしんどいことだったりしないのだろうか…
けれどこの映画は若い2人だったら全く味気のないもので年重ねた2人だからこそドラマが感じられると思いました。
「1、2、3で出るぞ」「1」…ドパパパパ!!
「トゥルーライズ」を思い出すような何だか古臭いやり取り(笑)。けれど90年代テイストが懐かしくて癒されます。
寒くならずヒロインがイラつくキャラになってないのはキャメロン・ディアスのコメディエンヌとしての力が大きいと思いました。
MIシリーズに比べればなんてことはないアクションだけれど、テンポの良さと掛け合いの軽妙さでグンと楽しく観られる。
2人一緒のバイクシーン、阿吽の呼吸は最高のカタルシスです。
途中でかかっていた80年代の洋楽ヒット曲「Private Eyes」も印象的。(君をずっとみてるよ、君の動きは全てみてる…僕はスパイだけど君の味方…)
一途な恋愛ソングと思わせてストーカーソングとも受け取れる歌詞!?
映画の内容にも普通じゃないトムのイメージにもリンクしていて、こういう曲の使い方もいいなあと思いました。
場面転換が薬飲まされてフェードアウトの繰り返しなのが安直でチープに映るも、最後までやり通して大逆転してみせるとこでスッキリ。
出会いの飛行機で2人で会話するところ、ヒロインがいい男逃すものかと必死にトイレで身だしなみ整えるところ(笑)、そのあと自分からアタックしに行くところが好きです。
「〝いつか〟は危険は言葉だ。〝永遠に実現しない〟と同じ。」…ベッタベタだけど名台詞。
人生限られた時間を大切に生きなければという気持ちにさせてくれるし、自分の人生を二の次にしてきたような人たちが幸せを掴むハッピーエンドに温かい気持ちになりました。
トム・クルーズの映画でこれがナンバーワン!!って言うともっと他にありそうですが、疲れた心に染みる程よい甘さ。
心地よくて何回も観れてしまう凄く好きな作品でした。