うーん、これはかなりイマイチ。
89年にテレビ映画として制作されたルチオ・フルチ監督によるオカルトホラー。
昔ビデオで観たはずなのですがあまり印象に残っておらず、改めてみてもよっぽど予算がなかったのかなあと衰えを感じる1作でした。
郊外の館に住む仲のいい4人家族。
しかし嵐の夜に両親が強盗に惨殺されてしまいます。
伯父伯母夫婦が子供の面倒を見るため越してきますが、館のあちこちでポルターガイスト現象が…!!
冒頭は目玉飛び出しなどフルチらしさを感じさせる仕上がり。殺人シーンでやたらノリのいいBGMが景気良くかかるあたりもイタリアンホラーっぽいです。
黒装束の犯人を追うジャーロものになるかと思いきや、早々に犯人は〝らしい〟人物が登場しその復讐はあっさりと果たされ、物語は残された子供2人、男の子ミッチと女の子サラの視点で進みます。
親の葬儀中にも笑い出すわ、家の下見に来た太っちょの不動産屋をバカにするわ、躾がなってないを通り越して不気味にみえる子供2人。
かと思えば親がいなくて寂しいと突然泣き始めて霊と交信する儀式めいたものをはじめる…大人からみれば理解し難い子供の行動も、子供は子供なりの方法で悲しみを昇華させようとしてるのでしょうか…
フルチの過去作では「地獄の門」のラストにいきなり子供がゾンビ化したり、「墓地裏の家」で子供の言うことを信じなかった親が処刑されたり…とありましたが、大人と子供の隔絶、モンスターチャイルドもの的要素を感じさせるストーリーではあります。
果たして怪奇現象は子供の幻覚が引き起こしているものなのか??…ちょっぴり思わせぶりな演出もみせつつ、普通に死んだパパとママの霊体が出てきて最後はポッと出のエクソシストとの対決という盛り上がらない展開。
どうみてもエクソシストの方が悪人顔、悪霊の方が家族愛に満ちてる…こういう所をフルチらしい反骨精神と取ればいいのか、けれど全体的には退屈でかなりビミョーな出来栄えでした。
何より肝心のポルターガイスト現象がお粗末で最後のクレーン車が操られた…!!のシーンは狙ったうえでのドタバタコメディ調なのか、よっぽど予算がなかった末の工夫なのか観てて戸惑いました(笑)。
同じテレビ映画でも「クロック」は世界観が確立されていてよかったなあ。
余程のフルチ好きにしかオススメできないなかなかシブめの1本でした。