ジャケットから漂うネメシス臭。
知る人ぞ知る80年代B級カルト作だそうですが、この度初Blu-ray化。
何も考えたくないときに観るには最高の1本、好きな人間にはたまらない作品でした。
飛行機事故で瀕死の重傷を負ったジョンは機械を埋め込まれた改造人間・マンドロイドへと生まれ変わった。
しかしマンドロイドへと改変したのはタイムマシンを使い歴史を改変しようとする悪の科学者だった。
ジョンは科学研究所を脱出し仲間を集め悪の野望を打ち砕こうとするが…
身体の半分が人間、半分が機械の主人公ジョン。
四肢が付け替え可能なパーツとなっていて、冒頭ではなんとキャタピラーと合体し疾走。
右折するときには左側のキャタピラーがしっかり静止、階段をも下っていく見事な動き。
マンドロイドめちゃくちゃカッコええやん!!と思ったらこれがこの映画のクライマックス(笑)。
山道に入ると早々に戦車をポイ捨てするジョン。
研究所で唯一の味方だったタカダ博士の残したヒントを辿りニューヨークにいる女博士の下を訪れます。
(ニューヨークまでこんな目立つ姿で徒歩移動したんか??)
女博士はかつて悪の科学者と一緒に開発をしていたらしく彼を止めに行くと言います。
博士のつくったR2-D2みたいなロボットもお供に加わりますが、ワープ機能搭載でこいつだけ有能すぎる…
そもそも舞台が現代なのか未来なのかサッパリ分からんまま話が進む本作。
冒頭から未来感バリバリなのは主人公だけ、敵兵はネルシャツ着たテキサスにいそうなおっちゃんという物凄いチグハグ感。
悪の要塞はメキシコの奥地にあるらしく、ここから川下りと密林散策というSF映画感ゼロな画がひたすら続きます。
そしてここから主人公がとんでもないポンコツっぷりを発揮。
義手から出る光線銃が全然当たらない…!
ワイヤで重いもの持ち上げてくれるのかと思いきや枝に引っかかる…!
ボートからうっかり転落して川底に沈み込むシーンではこちらも笑いで椅子から転げ落ちそうになりました。
でもこの出来ない子っぷりが段々可愛くみえてきます。
他にもキャラクターが登場しますが、悪のアジトまでの運び屋をやってくれるおっちゃんはハン・ソロっぽい雰囲気。
酷いこき使われっぷりですが、博士とサイボーグがそんなに上客にみえるのか謎すぎる(笑)。
さらにはヌンチャクを操る謎忍者も仲間に、タイムマシンで強制的に現代に連れてこられたというネアンデルタール人が登場したりともうめちゃくちゃ。
86年にチャールズ・バンドが製作した本作。
ときはビデオブーム真っ只中、年に何百本もの企画を抱えてB級映画を大量生産していた時代。
4人の監督で1本の映画を撮っていたこともあったそうで、撮りたい絵やアイデアがそれぞれあって好きなようにやるのが通常運転だったんでしょう。
「サイボーグと忍者が暴れるスターウォーズにインディジョーンズも混ぜてみるか…」
何もかも点と点で線になっていませんが、「楽しんでつくった」ことだけは伝わってきます(笑)。
ラストはさらに驚愕怒涛。
自らもサイボーグと化した悪の科学者が一方的に主人公を攻撃。
「ジョンに任せておきましょう」と放置する女科学者。そのわずか10秒後「死んだわ」…
仲間を救って息絶えるもそんなジョンを放置して走り去って行く仲間…薄情すぎる(笑)。
主人公が乗ってた飛行機の残骸から妻子と思われる写真が発見されてて、人間としての過去があったはずなのにそんな伏線関係ねえ!
ポンコツではあったけど不憫なサイボーグが妙に愛おしく思われる、実に楽しいB級映画でした。