リチャード・フランクリン監督の78年のホラー「パトリック」。
サイコキネシスの力を持った昏睡状態の青年と看護師女性のやり取りを描いたサイコホラー。
タランティーノのお気に入りとしても知られ、地味ながら秀逸な作品で好きだったのですが、なんとそれに便乗したイタリアンホラーがあるとのこと。
コメント欄で教えていただき、とても面白そうだったので気になって観てみました。
走っている車から投げ捨てられた酒瓶が顔に当たり、昏睡状態に陥ってしまった青年・パトリック。
その数年後…5人の男女がとあるウェルネス・リゾートに招待されます。
集められたメンバーは謎の脅迫状を受け取っていて、各々秘密を抱えている様子。
実は5人は飲酒の癖を持っており、パトリックの父親が〝酒瓶を投げつけた犯人〟を血眼になって探した末リストアップされた容疑者たち。
父親は実験を重ねて昏睡状態の息子の超能力を開花させることに成功、リゾートの支配人を演じ、復讐計画を練っていたのでした。
立ち入り禁止の部屋に横たわるパトリックが力を発揮すると、ゲストは1人ずつ惨たらしい死を遂げていきます…
酒瓶が顔に当たってイタタタからいきなり昏睡状態へ(笑)…冒頭からツッコミが止まりません。
寝たきりのサイコキネシス青年というプロットだけ借用しつつ、前作との繋がりは全くなく無断で勝手にタイトルを使ったというからびっくり。
真犯人当てなどそんな要素があれば面白くなりそうなストーリーですが、そんなもんはそっちのけ、女性陣が無意味に胸をさらけ出していてそっちに気を取られて話が中々頭に入ってきません(笑)。
殺人シーンはスローテンポで間延びしているところもありつつ、グロ度はかなり高め。
1人目の犠牲者はプールの水がいきなり湯だって火傷&溺死。
探偵役になるかと思われた一匹狼の謎めいた男は念力パワーに操られて鍵フックに自分の身を吊るして死亡。
そして本作最大のハイライトは「ゾンビ3」のマイケルの母親役でおなじみ、マリアンジェラ・ジョルダーノが犠牲になるシーン。
火かき棒で股を串刺しにされそれが口から飛び出てくる…食人族も真っ青なシーンが強烈。
大股開きで絶叫する女優さんの身体の張りっぷりが凄まじいです。
その他シェパード犬2匹に襲われて女性が死ぬシーンはフルチの「ビヨンド」、車のウィンドウが首を切断するシーンはアルジェントの「インフェルノ」などが想起されつつ、ゴアシーンだけでもかなり見応えのある作品になっていました。
一方、肝心の超能力青年は顔色はいいわ、周りに置いてある機械がヘッポコだわ、とても昏睡状態にはみえません。
父親が雇ったアシスタントの女性・リディアに心奪われるパトリック。
タイプライターを使ってメッセージを送るオリジナルリスペクトなシーンを挟みつつ、超能力を使ってスカート捲りしちゃうムッツリスケベ。
次第に行為はエスカレートし、念力で操られたリディアがベッドの欄干に股をこすりつけて0721させられるというこれまたキョーレツなシーンが(笑)。
乳首をツンツンと手すりに押し当てるところで爆笑してしまいました。
ところがリディアも容疑者候補の1人だったらしく、父親はパトリックに彼女を殺すように命じます。
どうやら殺人はパトリックの意志ではなく父親がやらせていた模様。
パトリックは好きになったリディアを殺せず、彼女を手にかけようとした父親の方を殺めてしまいます。
ラストは逃げられなくなったリディアを映してジ・エンド…
雰囲気のある古びれた洋館は「ゾンビ3」で使われた場所と同じらしく、裕福な男女が死を遂げていくプロットといい、全体的に印象が重なります。
「チューブラーベルズ」をパクったようなメインテーマ曲も妙に耳に残りました。
アンダーもバッチリ映った過激映像、海外でも18禁扱いのようですが、日本でのソフト化は難しいのでしょうか。
「パトリック」自体そこそこマイナーな映画だと思っていたのでそれに便乗した作品があったというのにまずびっくりですが、アイデアはパクってもオリジナルとは似ても似つかない作品になってるのはさすがイタリア。
チープだけれど気前のよいエログロに大爆笑。この手のホラー好きには堪らない掘り出し物でした。