1994年から2004年に放送されていたアメリカのシットコム。
自分は完結後にレンタルで追った勢なのですが、最初こそ面白くても脱落してしまう海外ドラマが多い中、これは珍しく10シーズンを完走。
映画1本観る時間も気力もない疲れ切ったとき、アイスクリームを食べながらフレンズを観ると元気が出る…自分の心の友だった時期がありました。
各回22分で1話完結。6人のキャラクターを動かしながら複数のエピソードが同時進行、オチまで見事に構成されたシナリオが見事で毎回大爆笑。
今みると時代を感じるところも多々ありそうですが、下ネタも多く意外と辛辣でキツいところも含めて「フレンズ」の魅力だったのではないかと思います。
そして何より捨てキャラのいない6人のバランスが奇跡的…!!
世間知らずのお嬢様レイチェルはハイスクールのカースト上位女がそのまま大人になった感じ。
自分勝手でリアルでは友達になりたくないタイプですが、自分1人で何にも出来なかった人が自立していくドラマがベタだけど胸にきます。
ブラピがジェニファー・アニストンと結婚した時は誰!?と思ったけど、この人は写真で見るよりも表情や声も含めて魅力が深い人だと思いました。
レイア姫の奴隷ビキニのコスプレ、ノリノリでやってくれるの可愛いかったです(笑)。
長男ばかり可愛がる母親から冷遇され、潔癖症、異常に負けず嫌いな性格になったのはモニカ。
ゆるゆるテキトーなレイチェルと好対照なコンビ。
チャンドラーと結ばれてから少しずつ穏やかになっていった感じがして、このカップルの足りないものを補い合って成長していく姿が大好きでした。
セブン!!セブン!!は「恋人たちの予感」を超える名演(笑)。
6人の中でダントツで面白かったのはフィービー。
スピリチュアルキャラが新鮮、他のメンバーと比較して圧倒的に過酷な幼少期を送っているのに、それが笑えてしまう不思議。
「写真立ての中に見本で入っている写真を本物のお父さんだと思っていた」エピソードが強烈で笑いました。
ロシアの科学者から消防士まで…レイチェルやモニカよりも付き合う男性のストライクゾーンが広かった気がします(笑)。
エキセントリックな相手じゃなかったのが意外だけどマイクとはなぜかお似合い。苦労人の彼女の結婚スピーチは胸に沁みていい人に出会えてよかったなーと思いました。
男性メンバーの中であまり人気がないらしいのはロス。
しつこくて理屈っぽくてめんどくさい性格…でもオーバーな表情や挙動がいちいち面白くて、全然似合わない革パンを履いて酷い目に遭う話とかゲラゲラ笑いました。
エミリーとの電撃婚含め付き合う相手の趣味が1番悪かったような…タイミングが合わずレイチェルとすれ違い続ける10年の軌跡。
変人だけどオモロいお兄ちゃんでした。
夢見る役者の人生がいかに過酷か、他にはない職業設定が抜群に面白かったジョーイ。
初期の頃はそこまでお馬鹿キャラしてなかった気がしますが、どんどんアホの子になっていった気がします(笑)。
チャンドラーとの友情もいいけど、フィービーとの謎の深い絆も好き。
大家族で度々ファミリーが襲来していた記憶がありますが、英語を話せないジョーイのおばあちゃんがテレビを見て「サム・ウォーターストーン、カプリコン1、ウッディ・アレンの重罪と軽罪」と言い出すのにめっちゃアメリカ映画に詳しいやないかーい!!と爆笑しました。
メンバーの中で最も穏やかで誠実、男性キャラの中で1番人気がありそうなのはチャンドラー。
イジられキャラ且つツッコミ担当と何気に1番忙しい役どころ。ジョークを連発して茶化してごまかしてしまうのも自己肯定感が低い裏返しだったりして、色々こじらせてるところがリアル。
モニカと付き合ってから成長、プロポーズの場面は飾らない率直な言葉が感動的で、決めてくれるときは決めてくれる男、カッコよかったです。
ブラピやジョージ・クルーニーなど豪華ゲストが出演している回も見所ですが、自分が印象に残っているのはブルック・シールズがジョーイのストーカーを演じていた回。
「昼ドラのキャラクターをリアルな人間と勘違いしている」…ヤバい女の人の役がハマっていてオモロかったです。
ベン・スティラーも記憶に残っていて「みんなの前では愛想がいいけど実はキレやすいヤバい奴」を演じていたのがリアルでなんだか怖かった。
ジャン・クロード・ヴァン・ダムはなんと本人役で出演。馴染んでるようで馴染んでない、ヴァンダムの周りだけなんだか異空間(笑)。
ゲイリー・オールドマンが好きだったので、ゲストに出てきた回にはびっくりしましたが、「オスカー俳優ですよね」とジョーイに言われて「違う」と答えていたのが、晴れて本物のアカデミー俳優に。
モニカの彼氏役の1人がトム・セレックだったり(シブい)、お父さん役がエリオット・グールドだったり(このテキトーで大らかなオトン大好き)…
”友達の恋人が最高にウザい奴だったら…”の悪夢をみせてくれるジャニスは出る度に爆笑でしたが、改めて女優さんをみると普通に美人だったりして、たくさん笑ってくれる楽しい女性だったのかも!?
準レギュラーのキャストも皆印象的でした。
「フレンズ」は英語の教材に良いと言われることも多いようですが、医療ドラマや法廷ドラマのように専門用語が出てくるわけでもなく、6人全員の英語が聞き取りやすいというのも凄いところ。
モニカが「I’m engaged!」とウエディングハイになってベランダから叫んでいるのをロスが「I’m gayって言ってる」っていう場面があって、今だとこういうのも怒られそうですが(笑)、英語に親しみを持たせてくれるところもこのドラマの魅力の1つだったのではないかと思います。
ずっと面白かったけど、シーズン3までの勢いと切れ味は抜群。
シーズン8くらいからダレてきて、ジョーイとレイチェルの恋愛エピソードにはいよいよネタ切れな感じがしてしまいました。
チャンドラーが転職したり、子供を望んでも授からなかったり…9・11以降、なんとなくドラマに暗いトーン、現実的なムードが漂い始めていたように思います。
でも最後はすごく綺麗に終わってくれたなーという印象があって、ずっと一緒だった6人がそれぞれの人生を歩む…とても寂しいけれど現実に返されたようなラストの幕引きも自分は美しかったと思いました。
先日チャンドラー役のマシュー・ペリーが亡くなられたとのこと…私生活で色々問題を抱えていたらしいというのはうっすら知っていましたが、突然の悲しいニュースに驚きました。
大きな代表作がキャリアの大部分を占めてしまうことって俳優にとっては複雑な思いもありそうですが、誰一人欠けることなく10シーズン続いたの、すごいことだったんだよなー、と今更思って、6人揃っていてくれてありがとう、と改めて思いました。
「アイルビーゼアフォーユー」のオープニング曲も大好きでしたが、フルで聴くと歌詞がまた良い♫
アメリカにパワーがあった90年代の雰囲気が懐かしい。
破茶滅茶な6人が自分の悩み事なんてくだらないと大らかな気持ちにさせてくれて、元気をもらった海外ドラマでした。