どうながの映画読書ブログ

~自由気ままに好きなものを語る~

ホラー

「ジャーロ」…いつもと違う冷淡さのアルジェント

2009年のアルジェント監督作。 映像といい音楽といいラストの幕引きといい「らしくない」作品でファンサービスたっぷりだった「スリープレス」とは大違い。 以前観たときには物足りなく思われたのですが、改めて観るとこれはこれで味わいがあって悪くないか…

「デス・サイト」…控えめで明るめなアルジェントのネット中継殺人

「ダークグラス」公開前にアルジェントの2000年代の作品を何本か観なおしていたのですが、この作品は地味だし盛り上がりに欠けるけどなんか好印象だった作品。 デスサイト [DVD] ARC Amazon 英語タイトルはThe Card Player。 オンラインゲームで人質の命をか…

アルジェント最新作「ダークグラス」観てきました

御歳82歳のダリオ・アルジェントの最新作「ダークグラス」を観てきました。 新宿まで行ったのですがトークショー付きの回はオンラインで早々に売り切れ、「サングラスをかけて入場するともらえるステッカー」も配布が終了していました。 ノスタルジックなデ…

「赤んぼ少女」…悪行に自省的なタマミちゃんが可哀想で切ない

昨年楳図かずお大美術展に行った際「赤んぼ少女」のタマミちゃんのグッズが売っていて目を引きました。 人気作らしくタイトルだけは聞いたことがあったのですが、未読だったので文庫本を購入。 楳図かずお画業55th記念 少女フレンド/少年マガジン オリジナル…

9歳の殺し屋!?90年代懐かしお子様サイコパス映画「マイキー」

自分が子供の頃にみたお子様サイコパス映画といえば「危険な遊び」とこの「マイキー」の2本。 首がもげた人形を抱えた少年の写真に「チャッキーよりも怖い9歳の殺し屋、マイキー」などと煽りまくったキャッチコピー…ビデオパッケージはそんなんだった憶えが…

「ザンガディクス 鮮血の悪夢」…7人のマルコメくん殺人鬼と巨大な胎児

(この記事投稿後2~3か月ほど更新お休みします) 92年オランダ・アメリカ合作のルドルフ・ヴァン・デン・ベルフ監督作。 中古VHSの叩き売りで発見、「アボリアッツ国際ファンタスティック映画祭大賞受賞」の文字を見つけてお持ち帰りした1本。 思ったより…

「サンタリア 魔界怨霊」…vsカルト集団!!絶望のオカルトホラー

〝サンゲリア〟と〝サンタマリア〟を掛け合わせたような怪しいタイトルですが、ニューヨークに実在している宗教〝サンタリア〟を題材にしたという87年公開のオカルト・ホラー。 監督はジョン・シュレシンジャー、主演はマーティン・シーン。 じわじわ追い詰…

「エイリアンドローム」…サンゲリア+エイリアン??イアン・マッカロックがカッコいい

「サンゲリア」のイアン・マッカロック主演のマカロニホラーということで気になっていた作品のBlu-rayを鑑賞しました。 ホラー・マニアックスシリーズ 第13期 第3弾 エイリアンドローム -2Kレストア版- [Blu-ray] イアン・マッカロック Amazon 監督は「サイ…

「ワーロック」…ポンコツ魔法使いと逞しいヒロイン

同じタイトルで西部劇の名作があるようですが、こちらは89年公開のファンタジーホラーのワーロック。 監督は「ガバリン」のスティーヴ・マイナー、脚本は「逃亡者」「アライバル」のデヴィッド・トゥーヒー、音楽はジェリー・ゴールドスミス…と意外に豪華な…

「ザ・リッパー」…殺しのドレス風!?フルチのエロス・スプラッター

ルチオ・フルチが「墓地裏の家」のあと82年に撮った猟奇サスペンス。 このジャンルが下り坂の時期に制作された作品だと思いますが、晩年の作品に比べると予算はあったのかNYの空撮などロケーションはしっかりしています。 「イノセント・ドール」のようなロ…

「影なき淫獣」…美女と絶景と足フェチと…先駆的ジャーロの名作

カルロ・ポンティ製作、セルジオ・マルチーノ監督による1973年公開のイタリア製ジャーロ。 スラッシャー映画の先駆的存在と呼ばれ、タランティーノのお気に入り作品でもあるそう。 後半3分の1が爆上がりで面白かったです…!! 影なき淫獣 完全版 -デジタル・…

「チャイルド・プレイ2019」…メンヘラチャッキー、思ったよりいいリメイク

人形の出来がイマイチやなーと思って気になりつつもスルーしてたチャッキーリメイクを観てみました。 「ゾンビ」→「ドーン・オブ・ザ・デッド」のように別の方向性を目指したのが吉、哀しみホラーの要素はしっかりあって個人的にはアリな作品でした。 チャイ…

「デッドリー・フレンド」…美少女ロボゾンビ、バスケで頭ドカーン

ウェス・クレイヴンが監督、「ゴースト ニューヨークの幻」のブルース・ジョエル・ルービンが脚本を手掛けた1984年の作品。 前半は良いのに後半が迷走気味、けれど美少女ロボゾンビ!?を演じたクリスティ・スワンソンが魅力的で記憶に残る1作でした。 IQの…

ロバート・イングランドの「オペラ座の怪人」…君の前前前世から僕は君を探し始めたよ

子供の頃自分が初めてみた「オペラ座の怪人」がこれだったのですが… オペラ座の怪人 [VHS] アミューズ・ビデオ Amazon めちゃくちゃグロくてびっくり、だけどストーリーはしっかりしてて時を超えるタイムスリップ展開が秀逸。 基本は原作(ミュージカル)に…

「ザ・センダー 〜恐怖の幻想人間」…悪夢を転送する哀しきテレパシスト

病院に運びこまれた自殺未遂の青年。彼は他人に自分の悪夢を転送してしまうテレパシストだった… 82年制作のイギリス製ホラー。 大人しめの作品ではありますが、テレパスの設定が上手くサイコサスペンスに生かされており、また幻覚の映像表現も独創的で印象に…

「メデゥーサ・タッチ 恐怖の魔力」…絶望した人間の裁き、70年代超能力ディザスタームービー

「オーメン」「キャリー」が公開された翌々年の78年に制作された超能力ホラーですが… 殺人ミステリから始まってオカルトものへ、ラストはディザスタームービーへと化す脚本が見事。 現実の無差別殺人が頭をよぎったり、現代の閉塞感と重なるものを感じてしま…

「ワックスワーク」…vs全ての怪奇映画!!異次元バトルホラーの良作

中古のVHSの叩き売りで発掘、パッとしないスプラッターかと思ったら意外に面白かった1作。 「ラストアクションヒーロー」と「ナイトミュージアム」を足したような…??子供の心に戻してくれる、ファンタジーとコメディ色の強い楽しいホラームービーでした。 …

「ダゴン」…抗う人の意志と無情な血の運命

いあ!いあ! スチュアート・ゴードン2001年の監督作、未見で気になっていたのを初鑑賞。 「死霊のしたたり」のようなユーモアあるやりすぎエログロ路線とは全く違って、得体の知れない集団に取り囲まれる恐怖、逃れられない血の宿命…シリアスに怖い王道ホラ…

アルジェントの「オペラ座の怪人」…驚愕!!美しき変態ネズミ男

劇団四季のミュージカルが好きで間違ってこのビデオ借りちゃった人はきっとトラウマもの。 ホラーファンが観てもなかなか珍妙な作品で、アルジェント好きの人間が観ても「どうした、アルジェント!?」とのけぞるような、別の意味で記憶に刻まれるトンデモな…

「トラウマ/鮮血の叫び」…アルジェント首切り殺人事件

ダリオ・アルジェントが娘・アーシアを主演に迎えた93年の作品。 どこか「サスペリア2」を彷彿させるジャーロもので決して面白くないことはないのですが、アメリカをロケ地にしたからかビジュアル的な魅力が半減。 音楽はピノ・ドナッジオが担当していますが…

アルジェント後期傑作「スタンダール・シンドローム」を独自解釈してみた

性暴力の被害に遭った女性の精神崩壊を描くダリオ・アルジェント監督作。 殺人シーンにいつものような芸術性は皆無で淡々と渇いた感じ。ストーリーは破綻こそ少ないものの解釈を委ねたようなやや難解なつくり。 好みが分かれそうな作品ではありますが個人的…

「悪魔の墓場」…ヨーロッパ製リビングデッド、ゾンビの出来が秀逸

英題:The Living Dead at the Manchester Morgue。 ロメロの「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」(68年)と「ゾンビ」(78年)の間…74年にスペイン・イタリア合作で作られたゾンビ映画。 「サンゲリア」のような作品を期待するとマジメかっ!!となる社会…

「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」4Kリマスター版観てきました

ゾンビ映画の原点になった「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」の4Kリマスター版がこの度劇場公開されるとのことで観に行ってきました。 自分が「ナイト〜」よりも先に観たのは「ゾンビ」の方。高校生の頃映画秘宝で取り上げられていてどんな作品なんだろう…

「キャッスル・フリーク」…スチュアート・ゴードンの陰惨古城ホラー

スチュアート・ゴードンとチャールズ・バンド率いるフルムーン・ピクチャーズが組んだ95年のホラー。 他作品に比べるとかなり地味な印象ですが、家族ドラマの要素もあって個人的にはとても好きな作品でした。 アメリカ人のジョンは見知らぬ親戚から古城を相…

「ザ・ブルード/怒りのメタファー」…クローネンバーグの隙がない傑作家族ホラー

カルト宗教に入った妻の下から子供を連れ戻す…クローネンバーグの当時の実体験が色濃く反映された作品だそうで… 本監督の初期の傑作、肉体の変容という一貫したテーマも在りつつ明快な家族ホラーになっていていいですね。 ザ・ブルード/怒りのメタファー リ…

ルチオ・フルチの「恐怖!黒猫」…物静かなホラーだけど雰囲気は良かった

フルチが「地獄の門」と「ビヨンド」の間に撮った81年の作品「黒猫」が初Blu-ray化。 「時計仕掛けのオレンジ」のパトリック・マギーと「4匹の蝿」のミムジー・ファーマーが主演、脇はフルチ作品の常連が固めています。 ゴア描写は少なく思った以上に静かな…

「ドクター・ブッチャー」…ゾンビと食人族とイアン・マッカロック

映画「サンゲリア」で主演を務めるイギリス人俳優、イアン・マッカロック。 特典映像などで披露されるエピソードでは気難しく撮影時には他の出演者と打ち解けられず孤立していたそう。 時を経て作品が再評価されてファンイベントなどに呼ばれても終始しかめ…

「恐怖の報酬」劇場で再鑑賞してきました

先月目黒シアターという劇場にて「恐怖の報酬」「ウィッカーマン」の2本立て上映があり、観に行ってきました。 時間の関係で「恐怖の報酬」1本しか観れなかったのですが、このブログを始めてから出会った中で1番衝撃だった作品。大きな劇場ではなかったけれ…

「サザン・コンフォート」…ウォルター・ヒル最高傑作!?ボンクラ小隊決死の脱出劇

81年制作、日本国内では劇場未公開だったというウォルター・ヒル監督作。 ジャケ写は戦争映画のような雰囲気ですがサバイバルホラーと言っていい仕上がり。 「田舎で得体の知れない人に襲われる」系ホラーの醍醐味もあり、個人的には今まで観たウォルター・…

「肉の蠟人形」1997…フルチとアルジェント、イタリアとハリウッドの狭間で…

(この記事のあと暫く更新をお休みします。) アルジェントとフルチが共同制作するはずだったのにフルチが急死。〝ルチオ・フルチに捧ぐ…〟というテロップとともに幕を開ける1作。 昔VHSで一度みたきりだった「肉の蠟人形」を久々に鑑賞しました。 同時期・…